企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】タイショクキンマエバライセイド 退職金前払い制度

退職金を月例賃金や賞与に上乗せして前払いする制度。従業員から見れば退職金を在職中に受け取る制度です。企業にとっては人材引き止め効果は減少するものの、将来の退職給付債務を圧縮できるメリットがあります。
(2004/11/8掲載)

退職金前払い制度のケーススタディ

松下電器が若手社員を対象に導入
退職金としての意義を失う危惧も

勤続年数が増せば増すほど支給金額が増える退職金制度は、高度成長下の人材不足時代には、従業員の定着を促すという意味で大きな効果がありました。しかし昨今、多額の退職金給付債務が企業財務を圧迫、従来の退職金制度の見直しに着手する企業が増えています。

そうした中で松下電器産業が1998年入社の新入社員から導入して注目を集めたのが退職金前払い制度です。新入社員は退職金を一時金として受け取る従来型の制度を選ぶこともできましたが、44%が「前払い」を選択。その割合は年々増え続け、2002年には60%を超えました。

企業にとって「積立不足問題が発生しない」「企業への貢献をすぐに賃金に反映できる」「損金として計上できる」などのメリットがあります。しかし従業員にとっては税法上の優遇措置が受けられないため、所得税、住民税、社会保険料などの計算基礎になってしまい、手取り額が減少するという大きなデメリットが発生します。このため不利益分を追加負担している企業もめずらしくありません。

制度移行にあたっては、従来の厚生年金基金、適格退職年金を解散したり解約し、確定拠出年金と併用して導入するケースが一般的です。カジュアル衣料のファーストリテイリングは、適格退職年金を解約、2002年9月から確定拠出年金と前払い制度の選択制に移行しました。総合商社の日商岩井(現双日)も退職金制度を廃止して厚生年金基金を解散、前払い制度と確定拠出年金を導入しています。確定拠出年金の拠出限度額を超えた額を前払いしている企業もあります。

退職金前払い制度は「資金用途の自由度が増す」「転職しても不自由が生じにくい」といった理由で、若い従業員の意識にも、それなりにマッチした制度といえます。また「遠い将来、就職した企業がどうなっているかわからない。今もらっておくほうが得だ」と考える若い人が増えているのも確かです。しかし一方で「若いうちは給料も安いので、前払い分を使い切ってしまい、退職金としての意義が失われるのではないか」との批判もあります。あくまで退職金であることを忘れないように、企業は規定などを設けて、その位置づけを明確にしておく必要もありそうです。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

確定拠出年金(日本版401k)
公的年金は、定年後の生活を支えるための重要な備えです。しかし、社会構造の変化や長寿化が進む現在の日本で安定した老後を迎えるには、公的年金に加えて、各個人が主体的に資産運用をする必要性があると考えられています。そこで注目を集めているのが確定拠出年金(日本版401k)です。ここでは、確定拠出年金の概要や...
早期退職制度
希望退職制度の一手法で、退職金などを優遇する代わりに、定年前に退職を促す制度のことをいいます。近年、導入企業が増え、対象となる年齢も低くなってきています。
ポイント制退職金制度
在職中の企業への貢献度に応じて、1年ごとにポイントを付与し、これを累積したものにポイント単価を掛け合わせて、退職金額を算出する制度のことです。賞与と同じように、退職金に報酬(成果の見返り)機能を持たせる点が特徴です。

関連する記事

「確定拠出年金」と「確定給付企業年金」新企業年金制度の導入パターンを探る
企業の退職金・年金制度を取り巻く環境は、依然として大変厳しい状況にあります。超低金利政策や株式市場の低迷で、年金資産運用利回りは2000年度から3年連続のマイナス。2001年からは新たな退職給付会計が導入され、多くの企業で退職金の積立不足が表面化しています。一...
2005/04/25掲載人事・労務実態調査
「企業年金コンサルティング」サービスの現状と傾向
「企業年金」は加入者の退職後の資産の一つである。しかも、公的年金同様、企業年金も適切な制度運用や環境の変化に応じたメンテナンスを行っていかないと、加入者にも企業自身にも思わぬダメージを与える可能性がある。専門的で分かりにくいといわれる「企業年金」についてポイン...
2007/09/10掲載人事支援サービスの傾向と選び方
人事制度とは -意義・基本-
経営資源と言えば「ヒト・モノ・カネ」が挙げられるが、中でも重要なカギを握っているのはヒト、すなわち「人材」である。経営課題をつきつめていくと、最終的には「企業は人なり」という結論に到達する。「企業の競争力や価値を向上させる組織」や「従業員の意欲・能力を向上させ...
2013/04/26掲載よくわかる講座

関連するQ&A

退職金制度について
当社は平成9年設立の外資系企業です。これまで当社では退職金制度がなかったのですが、今年は他の日本の企業に倣い退職金制度を導入する予定です。 最近の退職金制度でよいと言われているものや、それらのメリット、デメリットや注意点等を教えていただけますでしょうか。 よろしくお願いいたします。
正社員への退職金制度適用について
現在、弊社では正社員に対しての 退職金制度の見直しを考えています。 そこで質問なのですが 例えば同じ正社員の中でも ・退職金制度 ・確定拠出年金制度 ・支給なし 上記のように適用ルールを変えることは可能でしょうか? お手数ですがご教示ください。 よろしくお願いします。
選択制確定拠出年金
お世話になります。 当社では、現在、退職金の一部を確定拠出年金に移行して5年が経過しております。そこで、選択制確定拠出年金の導入も検討しているのですが、そもそも、既に企業型を導入している企業が選択制をも導入できるのでしょうか。また、選択制とマッチング拠出との違いはなんでしょうか。 以上、よろしくお願...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

Withコロナ時代は社内研修をオンライン化! 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


メンタルヘルス・健康経営セミナー<br />
職場の活力アップを考える

メンタルヘルス・健康経営セミナー
職場の活力アップを考える

人材不足、多様性、働き方改革など、近年は人材に関する環境が大きく変化。...


仕事の悩みを抱える社員は90%以上<br />
企業は社員のキャリアをどう支援していくのか

仕事の悩みを抱える社員は90%以上
企業は社員のキャリアをどう支援していくのか

日本社会の少子高齢化、経済のグローバル化の背景の中、M&Aやリストラク...