新卒者体験雇用
新卒者体験雇用とは?
「新卒者体験雇用」とは、就職先が決まっていない新規学卒者の就職を支援するために、厚生労働省が2010年2月から始めた制度。新卒未就職者を対象に1ヵ月から最長3ヵ月の体験雇用の機会を設けることによって、希望職種の選択肢を広げるとともに、求職者と事業主との相互理解を深め、その後の正規雇用への移行を促進するものです。体験雇用を受け入れる企業には、対象者1人につき最大16万円の新卒者体験雇用奨励金が支給されます。
企業と若者が理解を深める“お見合い”制度
支援拡充の予定もPR不足やミスマッチが課題
文部科学省と厚生労働省が11月16日に発表した、2011年春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)は57.6%――前年に比べて4.9ポイント低く、「就職氷河期」と言われた04年の60.2%を下回りました。今春の4年制大学の卒業生のうち就職も進学もしていない人は全体の16.1%にあたる約8万7千人で、高卒を合わせると約15万人がいわゆる“就職難民”と化しています。来春の卒業生についても、現時点の内定率を見るかぎり、状況はきわめて厳しいと言わざるを得ません。
こうした空前の就職難を背景に、政府は緊急経済対策の一環として、卒業後も就職活動を続ける新卒者向けの支援制度を策定しました。10年2月に「新卒者体験雇用事業」がスタート。6月には体験雇用の期間が最長3ヵ月まで延長され、受け入れ企業への奨励金も増額されるなど、制度の拡充が図られました。長引く不況から新規採用に及び腰になりがちな企業に採用を促すとともに、就職の決まらない若者には“食わず嫌い”にならないように選択肢を広げる機会を用意するのがねらいです。企業と新卒者が相互理解を深める“お見合い期間”ともいえるでしょう。
希望者は居住地を管轄するハローワークに登録し、体験雇用を受け入れる事業所に紹介してもらう手続きを行います。中学生・高校生の場合は保護者の同意が必要。体験雇用の期間中は、原則として通常の労働時間で働き、賃金も支払われます。体験雇用期間が終了した時点で事業所の求める要件に達したかどうかなどを判断し、その結果、正規雇用への移行が決まります。ただし事業そのもののPR不足もあり、利用実績は芳しくありません。政府は当初、年間2,400人の利用を見込んでいましたが、全国の利用者は7月中旬時点で約700人、そのうち正規雇用されたのは250人弱でした。大卒者が希望する事務職の求人が多くないため、体験雇用の受け皿そのものが不足するミスマッチも目立っています。
そこで厚労省は、10年度かぎりの時限措置だった新卒者体験雇用事業を、11年度から「新卒者キャリアスタート事業」に衣替え。受け入れ企業への助成額を5〜9割増額し、支援対象者を年間1万人にまで拡大する方針です。さらに「卒業後3年以内」なら新卒として応募できるよう雇用対策法に基づく指針を改正し、この新しい定義による「新卒者」を正規雇用した企業に奨励金を支給するなど、ここへきて新卒者雇用の強化策が相次いで打ち出されています。
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