就職氷河期
就職氷河期とは?
バブル経済崩壊後の長期不況の影響を受けて、就職難が社会問題化した時期を指す表現。雑誌「就職ジャーナル」から生まれた造語で、1994年の第11回「新語・流行語大賞」の審査員特選造語賞を受賞しています。金融不安やITバブルの崩壊が重なり、雇用環境がさらに冷え込んだ90年代後半から2000年頃をとくに「超氷河期」と呼ぶことも。
現下の就職環境は氷河期ほど悪くない
決まらない原因は企業と学生のミスマッチ
かつて約170万人もの若年フリーター層を生み出したとされる「就職氷河期」の再来が懸念されています。厚生労働省と文部科学省の共同調査によると、2010年春卒業予定の大学生の就職内定率は、前年12月時点で73.1%と過去最も厳しかった03年の調査結果を下回りました。就職先が決まらないまま今春卒業してしまう学生は、09年に比べて5割増の12万人超となる見通しです。
しかしリクルートワークス研究所の大久保幸夫所長は、今般の新卒者を巡る就職環境は求人状況から見ると「以前ほどは厳しくない」と指摘します。現に今春卒業予定者の求人倍率は1.62倍(リクルートワークス研究所調べ)で、氷河期だった1996年春卒業の1.08倍や2000年春卒業の0.99倍ほど極端には落ち込んでいません。また、同研究所が4,400社の民間企業を対象に、11年春新卒者の採用見通しに関する調査を行ったところ、「増える」と答えた企業は5.5%で「減る」の9.3%を下回りましたが、半数近くの企業は「変わらない」と答えています。
企業が採用活動を凍結した氷河期とは違い、採用枠は限られても、各社の採用意思そのものは失われていません。背景には、新卒採用を止めたために社員の人員構成がいびつになり、人材不足やマネジメントの劣化など組織に深刻な弊害を招いた“氷河期の反省”があるといわれます。依然、景気の先行きは不透明ですが、企業としてはむしろ厳しい状況だからこそ、より優秀な学生を“厳選”して確保したいのが本音でしょう。
当然、求められるのはこの難局を乗り切るための“即戦力”。しかし長引く景気低迷のなかで、日本の若者の多くは安定志向を強めているといわれます。日本生産性本部が実施した09年度新入社員に対する意識調査では、「年齢・経験を重視して給与が上がるシステム」や「年齢や経験によって、平均的に昇格していく職場」を希望する回答がそれぞれ48.1%、39.7%で、1991年に調査を開始して以来、過去最高を記録しました。各種就職人気ランキングでも、好不況の影響を受けにくいイメージのある医薬品・生活必需品関連業界や社会・生活インフラを支える企業に、「安定しているから」「大手だから」などの理由で学生の支持が集まっています。
氷河期を下回る就職内定率73.1%という数字は、こうした企業と学生の、埋めがたい志向の“ミスマッチ”を浮き彫りにしているのではないでしょうか。
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