第2のセーフティネット
第2のセーフティネットとは?
就業と生活の安定を守る制度の第一は雇用保険で、生活保護が最後の救済策といわれます。その中間を補完するしくみとして整備されたのが「第2のセーフティネット(安全網)」。雇用保険が適用されない非正規労働者や失業給付が終了した人を対象として、就業支援を目的に生活資金や住宅入居費などの貸付け・支給を行う各種支援制度を指します。
雇用保険と生活保護の間を補う支援策
就職活動や職業訓練を行うことが条件に
2008年のリーマンショックに端を発する世界的な経済危機は、労働市場のセーフティネットをめぐる議論を活発化させ、とりわけ日本社会のそれがいかに脆弱であるかを浮き彫りにしました。派遣切りなどで職を失い、第一の支えであるべき雇用保険のセーフティネットからこぼれた人々が、失業給付も生活保護も受けられないまま、いわゆる「派遣村」に続々と流れ込む――その姿が雇用悪化の象徴として全国に映し出され、波紋を広げました。
雇用保険については、非正規労働者のためのセーフティネット機能強化を目的に、適用範囲を拡大する雇用保険法改正案が10年2月に国会に提出されました。現在の適用基準である「6ヵ月以上の雇用見込み」を緩和、「31日以上の雇用見込み」があれば、すべて雇用保険が適用されることになります。
一方、最後のセーフティネットである生活保護については、法律上は「無差別平等」を謳いながら、受給者の大部分が無年金の高齢者や障がい者、母子家庭の母親に限られるなど、行政の窓口規制によって恣意的、限定的に運用されているのが実態です。背景に、生活保護費の4分の1を負担する地方自治体の財政悪化があることは言うまでもありません。
こうした従来の失業者支援策のほころびや限界を補うために設けられたのが「第2のセーフティネット」と呼ばれる諸施策です。職業訓練の期間中、生活・就職活動費として月10万〜12万円が支給される「訓練・生活支援給付」や、2年以内の離職者に生活保護の住宅扶助費と同額を給付する「住宅手当」など――各制度とも就業支援が主眼であり、ハローワークでの求職活動や職業訓練が支給あるいは融資を受ける条件となります。しかし制度によって、窓口が福祉事務所や社会福祉協議会などに分散しているため、使い勝手が悪く、利用者のたらい回しが懸念されるとの指摘も。政府は、ハローワークですべての手続きを可能にする「ワンストップサービス」に転換する方針を示しています。
もともと緊急雇用対策として期間限定で始められた制度ですが、民主党は「第2のセーフティネット」の恒久化をマニフェストに掲げており、現行制度を2年継続した後、11年度から新制度を導入する予定です。
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