役職定年制
役職定年制とは?
役職定年制とは、役職者が一定年齢に達したら管理職ポストをはずれ、専門職などに異動する制度。人事の新陳代謝を促し、組織の活性化や若手の育成、モチベーションの向上を図るとともに、年功序列制度のもとでは人件費コストの増加を抑えるねらいもあります。
定年延長を機に大企業の半数近くが役職定年制を導入
役職離脱後の役割の明確化がポイントに
現行の60歳以上定年は1986年に企業の努力義務とされ、98年に義務化されました。定年年齢が延長される一方、各企業ではそれに伴う役職人事の停滞や、団塊世代を中心とした社員の中高年化によるポスト不足が懸念されるようになり、対処策として役職定年制の導入が積極的に進められました。
定年前の一定年齢で役職をはずれる役職定年制に対し、役職に就いて一定の任期を全うした時点ではずれる制度を「役職任期制」といいます。どちらも定年年齢や任期を役職の種類に関係なく一律に設定するタイプと、役職ごとに別々に設定するタイプがあります。
中央労働委員会が大企業を対象に隔年で実施している「賃金事情等総合調査――退職金、年金および定年制事情調査」の2007年調査結果によると、60歳定年制を採用している企業のうち、役職定年制がある企業は45.7%とほぼ半数近くにのぼっています。役職を離脱する年齢の設定については、「制度あり」企業の約9割が「役職ごとに決めている」と回答しました。
制度運用においてとりわけ注意しなければならないのは、役職を離れたベテラン社員に対するフォローアップでしょう。先述の調査では、役職定年後の雇用形態について大半が「一般の定年年齢まで在籍」としていますが、賃金に関して役職就任時の水準を維持している企業はそのうちの1割強しかありません。ポスト離脱に収入減……長年会社を支えてきた自負をもつ役職定年者には、そうした待遇の急変によってモチベーションが下がり、新しい仕事にも熱意が持てないまま企業人としての“余生”を終えるケースが少なくないようです。本人はもちろん、会社にとってもけっしてプラスにはなりません。
新任者の補佐を任すにせよ、部署メンバーの指導役にあてるにせよ、肝心なのは、本人の組織における役割を明確にすること。その役割分担については当然、本人が培ってきたキャリアや専門性、得意分野を最大限に活かせるよう配慮すべきでしょう。そうすることで組織に貢献している実感や帰属意識が深まり、新しい仕事や立場に対して前向きに取り組めるようになるはずです。

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