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【ヨミ】プレイングマネジャー プレイングマネジャー

プレイングマネジャーとは、部下の育成・指導などを行う「マネジャー」としての役割と、売上に貢献する現場の「プレーヤー」としての役割を共に担うポジションのことをいいます。野球などのスポーツにおける選手兼監督がよく知られていますが、ビジネスの現場でもこの言葉が使われるようになりました。バブル崩壊後、管理職のポストが激減したために必要とされています。

1. プレイングマネジャーとは

プレイングマネジャーの意味

中小企業では、会社の代表である社長が、最前線で営業活動を行うことも珍しくありません。一方、かつて大企業では、管理職といえば、常時社内にいて部下からの報告を受けたり、部下に指示を出したりするほかは、部門間の調整が主な業務である場合がほとんどでした。しかし最近は、営業職として自らも第一線で成績を上げながら、部下の指導育成にあたるケースが増えています。

プレイングマネジャーには、「プレーヤー」としての個人の目標と、「マネジャー」としてのチームの目標を、共に達成することが求められます。この二つの目標達成のために必要とされる「能力」や「スキル」はそれぞれ異なります。

「プレーヤー」としてのスキルは、実務経験を積み上げることで得られる能力です。それに対して「マネジャー」には、会社全体の戦略をふまえて部門のビジネスモデルを構築したり、会社が抱える本質的な問題を解決したり、将来を見据えて組織の変革を行ったりするなど、現場経験とは異なる、より専門的なマネジメント能力が求められます。

プレイングマネジャーという言葉が生まれた背景

プレイングマネジャーという言葉が生まれた背景には、バブル崩壊後、人件費抑制のためのリストラで、現場社員だけでなく管理職のポストも激減したことが挙げられます。ポストが激減した結果、営業の第一線に立ちながら、管理職として部下のマネジメントも求められるプレイングマネジャーが必要とされるようになったのです。

しかし、企業を取り巻く環境は次第に厳しくなっています。今後、プレイングマネジャーの機能は、係長・主任などの現場の管理職に限定され、課長以上の管理職には「問題解決型のマネジメント能力」といった、“マネジメントのプロ”としての機能が求められるようになるでしょう。

2. プレイングマネジャーに関する注意点

プレイングマネジャーに関する法律上および運用上の注意点を見ていきましょう。

法律のチェック

プレイングマネジャーとして勤務している人が、「管理監督者」とみなされて残業代が出ていない場合には、法的な問題がある可能性があります。労働基準法における管理監督者に当てはまるかどうかは、役職名などではなく、職務内容や責任、権限、勤務態様などの実態によって、以下のように判断されます。

(1)労働時間、休憩、休日などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な「職務内容」を有していること
(2)労働時間、休憩、休日などに関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な「責任と権限」を有していること

労働条件の決定そのほかの労務管理について、経営者と一体的な立場にあるというためには、経営者から重要な責任と権限を委ねられている必要があります。「課長」「リーダー」といった肩書があっても、自らの裁量で行使できる権限が少なく、多くの事項について上司の決裁を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するにすぎなかったりする場合は、管理監督者とはいえません。

(3)現実の「勤務態様」も、労働時間などの規制になじまないようなものであること

管理監督者は、時を選ばず経営上の判断や対応が要請され、労務管理においても一般労働者と異なる立場にある必要があります。

(4)賃金などについて、その地位にふさわしい「待遇」がなされていること

管理監督者は、その職務の重要性から、定期給与、賞与、そのほかの待遇について、一般労働者と比較して相応の待遇がなされていなければなりません。

プレイングマネジャーに対して残業代が支払われていない場合は、職務内容が上の「管理監督者」に当てはまるのかどうかを精査することが必要です。

運用上の注意

プレイングマネジャーが実務と管理業務の両方をこなさなくてはならないことに、負担を感じる人が多くいます。2012年に発表された提言『ミドルマネジャーをめぐる現状課題と求められる対応』において経団連は、プレイングマネジャーの負担を軽減するために、以下のような組織的な取り組みが必要だとしています。

(1)プレイングマネジャーの実務的な負担を軽減し、業務のマネジメントや部下指導・育成に十分に取り組めるような環境を組織的に整備する

プレイングマネジャーの実務的な負担を軽減するためには、第一に業務そのものの見直しが必要となるでしょう。また、以下のような「働き方」の見直しも重要です。

  • チェックシートを活用するなどメリハリのある働き方の追求
  • 仕事の進め方のルール設定
  • 場所や時間に捉われない職場環境・勤務制度の整備
(2)プレイングマネジャーがより良いマネジメントを実践できるよう、OJT(仕事を通じた部下指導・育成)への制度的支援を行う

OJTはプレイングマネジャーだけの責任ではなく、職場全体の責任であるとの考え方に立ち、職場全体で新入社員・若手社員を育成していく体制を作ることが大切です。また、OJTの経験が不足しているプレイングマネジャーに対しては、上司や周りの同僚が、部下との接し方や指導方法などについてアドバイスをすることも必要です。

(3)プレイングマネジャーの自律的な成長を支援するためのOFF-JT(仕事から離れた企業内研修)を強化していく

プレイングマネジャーに対するマネジメント教育研修を、すでに行っている企業は多いでしょう。職場で実践しやすい内容への見直しを行うことで、研修の効果を高めるとともに、eラーニングを利用するなど受講するプレイングマネジャーの負担を軽減することも重要です。

3. プレイングマネジャーに無理な負担がかかっている?

プレイングマネジャーに無理な負担がかかっていることをうかがわせる、調査結果を見てみましょう。

プレーヤーとしての業務が「マネジメントに支障がある」人は6割

調査を行ったのは、学校法人産業能率大学総合研究所です。2019年3月20日から27日までの8日間、インターネットリサーチにより、従業員数100人以上の上場企業に勤務し、部下を1人以上もつ課長714人(男性693人、女性21人)にアンケートを実施しました。プレイングマネジャーである課長の約6割が、プレーヤーとしての業務が「マネジメントに支障がある」と答えています。

ほぼ全員がプレイングマネジャー

調査では、現在の仕事におけるプレーヤーとしての割合を「0%(なし)」から10%刻みで尋ねました。その結果、プレーヤーとしての割合が全くないのはわずか1.5%で、課長のほぼ全員(98.5%)がプレイングマネジャーであることがわかりました。プレーヤーの割合の加重平均を算出すると49.1%となり、課長の業務のほぼ半分がプレーヤーとしての仕事となっています。

十分な権限を与えられていると思わないが約4割

「マネジャーとしての期待に応えるために十分な権限が与えられていると思うか」を尋ねたところ、「思わない」と「どちらかといえば思わない」の合計が37.4%となりました。約4割の課長は、十分な権限を与えられていると思っていないことがわかりました。

プレーヤーとしての業務が「マネジメントに支障がある」が約6割

プレイングマネジャーである課長に対し、「プレーヤーとしての活動がマネジメントにどの程度支障があるか」を尋ねました。その結果、「とても支障がある」と「どちらかといえば支障がある」の合計が59.0%になりました。約6割が、プレーヤーとしての業務がマネジメントに支障があると考えていることがわかりました。

最も多く時間を割いている業務は「部下とのコミュニケーション」

課長として最も多く時間を割いている業務を尋ねたところ、1位は「部下とのコミュニケーション」、2位は「資料作成」となりました。「上司とのコミュニケーション」は、「部下とのコミュニケーション」と比べて約30ポイント低い結果でした。

プレイングマネジャーの転職理由は「評価の納得度」と「上司への不満」

調査を行ったのは、株式会社リクルートキャリアが運営するハイクラス転職サービス『CAREER CARVER(キャリアカーバー)』です。会員を対象にアンケートを実施し、637人の回答を得ました。そのうち「課長以上の役職」と回答した321人の結果をまとめると、プレイングマネジャーが「評価の納得度」や「上司への不満」など、仕事面での不満を募らせて転職を決意する姿が浮き彫りになっています。

転職理由は全体としてみると「仕事の達成感が感じられない」

アンケートの全体において、転職活動のきっかけとなったのは「仕事の達成感が感じられない」が約半数(49.8%)となりました。また、転職先を選ぶ際に重視する項目は、「自分の専門性を生かすことができる」が約7割(69.5%)、「仕事の成果や業績が正当に評価される」が約6割(60.7%)です。

プレイングマネジャーは仕事面での不満を募らせている

転職理由を「プレイングマネジャー」と「マネジメント専任」で分けて集計すると、プレイングマネジャーは「評価の納得度」(50.5%)と「上司への不満」(47.8%)となったのに対し、マネジメント専任は「会社の将来不安」(46.8%)となりました。マネジメント専任が会社面の転職理由を挙げている一方、プレイングマネジャーは仕事面の理由を挙げています。プレイングマネジャーに仕事面での負担がかかり、不満を募らせて転職を決意する姿が浮き彫りとなっています。

なお、ここで「プレイングマネジャー」とは、プレーヤーの割合が「高い」「どちらかというと高い」、および「マネジャーとプレーヤーが同割合」と回答した人です。また、「マネジメント専任」とは、マネジャー業務の割合が「高い」「どちらかというと高い」と回答した人となっています。

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