マインドワンダリング
マインドワンダリングとは?
マインドワンダリングとは、現在の作業や状況から意識がそれ、無関係な思考にとらわれてしまう心理現象のこと。直訳すると「心の迷走」であり、たとえば会議中に関係のない予定を思い出したり、作業中に過去の失敗を反すうしたりする状態が該当します。集中力の低下や作業ミスの原因にもなりますが、一方で創造性や問題解決力を高めるポジティブな側面もあります。
意識が漂う脳の仕組みと意味
マインドワンダリングが職場に与える影響
マインドワンダリングは、心理学では「意図しない内的注意の逸脱」とも説明され、人間の脳がデフォルトで行う活動の一つとされています。近年は、脳科学や認知心理学の研究により、その仕組みと影響が明らかになってきました。
マインドワンダリングは、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる仕組みに関係しています。DMNは、何もしていないときや刺激が少ないときに働き、内省や空想、過去の記憶を思い出すような思考を引き起こします。つまり、マインドワンダリングは誰にでも自然に起こるものです。
一般的に、仕事中や会議中にマインドワンダリングが生じると、生産性の低下やエラーの増加といったネガティブな結果を招きます。注意力や安全性が求められる職場では問題となるため、集中力トレーニングやマインドフルネスなどの対策が講じられるケースもあります。
一方で、マインドワンダリングにはポジティブな側面もあります。たとえば、散歩中にふと仕事のアイデアが浮かぶのは、マインドワンダリング中に無意識の情報処理が進んでいるから。新しいビジネスや問題解決につながることがあるため、「雑念」として排除するのではなく、適切に向き合うことが必要です。
創造性が必要とされる部署や業務では、意図的に「ぼーっとする時間」や雑談の余地を残すことが、結果的に組織の価値創造につながる場合もあります。すべてのマインドワンダリングが悪いわけではなく、そのタイミングや内容、頻度を見極め、職場の文化や目標に合わせて生かすことが大切です。
マインドワンダリングは、誰にでも起こり得る普遍的な現象であり、否定すべきものではありません。従業員の集中力が途切れる理由には、業務過多やストレス、職務の単調さなどが関係している場合があります。単に「集中しろ」と指導するのではなく、環境要因を見直したり、メリハリのある休憩時間を設けたりするなど、集中と創造のバランスを設計することが重要です。
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