ミッドライフ・クライシス
ミッドライフ・クライシスとは?
「ミッドライフ・クライシス」とは、40代から50代にかけて起こる身体的・社会的な変化をきっかけに、人生に対して不安や焦りを覚えること。この年代は、体力の低下や更年期といった身体的な変化に加え、子育てが一段落するなど社会的役割の変化が重なりやすい時期です。これらの変動が同時に訪れることで、自分の存在意義が揺らぎやすくなります。「ミドルエイジ・クライシス」とも呼ばれます。
子供の巣立ち、親の介護、キャリアの頭打ち
40代、50代の危機をどう解消するか
「中年の危機」とも呼ばれるミッドライフ・クライシス。「体力が落ちた」「疲れが抜けにくくなった」などに加え、ホットフラッシュやめまいなどの更年期障害に悩まされる人もいます。更年期障害と聞くと女性特有の症状と思われがちですが、男性も例外ではありません。テストステロンの低下により、イライラや不眠などの更年期障害を引き起こすのです。
50代は子育てが一段落する時期でもあります。親としての責任が軽くなる半面、家庭内での役割が曖昧になり、「空の巣症候群」と呼ばれる孤独感に見舞われることも考えられます。親が後期高齢者に突入し、介護に携わることもあるでしょう。
仕事では「このまま今のキャリアを続けるべきか」「若手にポストを譲るべきなのか」といった葛藤を抱きやすいのが、この年代特有の悩みです。キャリアの天井が見えてくることで閉塞感を抱く人もいます。40〜50代は責任のあるポジションに就いていることが多く、同僚などに相談できずに一人で悩みを抱えている人も少なくありません。
こうした状況が続くと、職場ではモチベーションやパフォーマンスの低下、周囲とのコミュニケーションの不和など、ネガティブな影響が出始めます。特に責任の重いポジションに就いている層がミッドライフ・クライシスを抱えると、部門全体の生産性や組織力の低下など、負の影響範囲が大きくなってしまう恐れがあります。
この年代の従業員が負のスパイラルに陥らないために、人事担当者は40~50代が陥りやすい状態を理解することが大切です。従業員が不調を訴えられる仕組みを作ったり、必要な人には保健師や専門家につないだりする対策が有効です。また、リスキリングやジョブローテーションなどにより新しい可能性を模索する機会を設ければ、「まだまだ挑戦できる」という感覚を得られるようになるでしょう。
ミッドライフ・クライシスは、必ずしもネガティブな影響だけではありません。自分の人生を見つめ直し、新たな目標や価値観を発見するチャンスでもあります。身体的・心理的・社会的変化が複雑に絡み合う時期だからこそ、自分にとって本当に大切なものを棚卸しすることができるのです。ただし、それは必要なサポートがあってこそ。ネガティブをポジティブに昇華させるためには、企業の理解と支援が大切です。
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