シャドウイング
シャドウイングとは?
「シャドウイング」とは、社員が上役の仕事に「影」のように同行して、違った視点を学ぶ育成方法です。例えば経営陣に同行し、経営会議に出席したり役員とディスカッションしたりするなど、会社の中長期的な未来を見据える経営の仕事に携わることで、通常の業務では得られない視座・視点を学びます。これにより、上の階層へ昇進するモチベーションの向上や、キャリア開発への効果が期待できます。女性活躍やダイバーシティ推進施策の一環として、シャドウイングを実施している企業もあります。
実はメリットの多い「かばん持ち」
女性活躍推進の施策にも
「かばん持ち」という言葉は、どこかマイナスのニュアンスを含んでいます。辞書を見ると、秘書やアシスタントを意味するものの他に、「上役にへつらい、いつもついて回る者」などと書かれており、一般的にあまり良い存在として認識されていないようです。
しかし、「かばん持ち」をする人のモチベーションによっては、全く違った仕事になります。文字通り、かばんを持つだけなら単なる雑用係で終わってしまうでしょう。しかし、上役が担っている仕事を理解しようと先回りして準備し、丹念に振り返りを行うのであれば、かばん持ちも立派なキャリア開発施策といえます。シャドウイングは、まさに後者のようなかばん持ちです。
例えば経営層のシャドウイングを行うと、経営層が経営会議でどのような発言をしているのか、どんな課題意識を持っているのかを目の当たりにすることができます。会社の方向性や事業戦略を知ることは、会社と自分自身のミッションの再確認にもつながります。
キャリア開発のために、別部署の担当者のシャドウイングを行うこともあります。今とは違う立場の仕事をのぞき見ることによって、会社理解や自己理解、キャリアの展望が広がるといったメリットが得られるからです。
企業によっては、女性を対象にマネジメント層や経営層のシャドウイングを実施している例もあります。東京証券取引所は2018年に「企業統治指針」を改訂し、上場企業に取締役におけるダイバーシティを求めるようになりました。しかし、この10年ほどで女性役員数は増加したものの、2022年の日本企業の女性役員割合は9.1%と未だ低い水準にあります。シャドウイングを実施する背景には、経営者の意思決定を間近で見ることで経営への参画をイメージさせ、自身のマネジメントに対する考えを広げてもらう狙いがあるようです。
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