ワーキングプア
ワーキングプアとは?
ワーキングプアとは、「働いても豊かになれない。どんなに頑張っても報われない」という、「働く貧困層」のこと。今、日本では、このワーキングプア層の急拡大が大きな社会問題となっています。
生活保護受給者の伸び率は過去最高
格差の拡大が深刻な社会問題に
生活保護の受給者がこのところ急激に増えています。生活保護受給世帯数は、平成14年に100万を突破してから増加を続け、平成16年度では120万世帯近くにまでなりました。ここ10年の1.6倍を超える伸び率は過去最高記録です。最近の傾向としては、年金だけでは生活できない「高齢者」、そして長い不況の中で大量に発生した失業者や非正規雇用の労働者など、いわゆる「ワーキングプア」と呼ばれる受給層の増加が特徴です。
景気回復と言われる今でも、都会では大学や高校を卒業した後なかなか定職に就けず、日雇いの仕事で命をつないでいる“住所不定無職”の若者が急増しているといいます。正社員への道は狭き門で、今や3人に1人が非正規雇用として働いており、子供を抱える低所得世帯は、食べていくのが精一杯で教育費どころではない現状があります。
地方と都会の経済格差も増大し、主要産業の伸び悩みなどにより地域経済全体が落ち込んでいる地方では、収入が少なくて税金を払えない人たちが急増した結果、破たんする自治体まで現れました。
急速に進む格差社会に対して、国は財政難を理由に生活保護費を削減する方針を打ち出しました。各地では、支給額を減らされた人たちが国を相手に訴訟を起こしたり、生活保護を受けられずに困窮する若者たちも出ています。
生活保護制度は、憲法25条の生存権(「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」)を実現させるために、昭和26年に制定された生活保護法に基づく制度。制定されてからすでに50年以上が経過していることもあり、生活保護を申請したのに受けられず餓死する人がいたり、不正受給の問題で、本当に受けるべき人が受けられていないのではないかという指摘も少なくありません。
一方、安価な労働力として、ワーキングプアに依存する事業主もいるようです。今後ますます、格差社会が進むとも言われていますが、所得が高い層と低い層、いわゆる勝ち組と負け組が世代を超えて固定化するのではないかといった危惧もされ始めました。ワーキングプアの存在は、これからの日本が真剣に取り組まなければならない、最も深刻な社会問題の一つであることは間違いないでしょう。
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