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【ヨミ】ロウドウブンパイリツ 労働分配率

労働分配率とは、経済活動によって生み出された富が、家計サイド(労働者)にどれだけ配分されているかを表す指標です。算出方法にはさまざまな定義がありますが、通常は家計が受け取る『雇用者報酬』を、『国民所得』、あるいは『GDP(名目国内総生産)』で割って計算します。
(2007/3/19掲載)

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労働分配率のケーススタディ

「いざなぎ景気」超えの好況だが
労働者からは実感がないという声も

内閣府発行の「国民経済計算年報」では、労働分配率を『雇用者報酬』/『国民所得』で定義しています。この方法で算出された労働分配率は、戦後一貫して上昇傾向をたどり、バブル崩壊後、2001年の74.1%をピークに一旦急降下したものの、2005年度においても実績で70.6%と高水準を維持しています。しかし、この高水準に違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。

「国民経済計算年報」の定義では、一般に「減価償却」や「固定資本減耗」と呼ばれる、資本ストック(過去に行った設備投資などの蓄積)の目減り分、つまり資本減耗を差し引いた上での付加価値をどう分配しているかといった定義がされています。

しかし、純粋に「どれだけ作ったか」という視点から考えると、固定資本減耗分も分母に含めて計算する、『雇用者報酬』/『GDP(名目国内総生産)』の定義が妥当になります。この方法で算出すると、昨今の労働分配率は、ほぼ80年頃の水準で横ばい、あるいはやや下回った55%前後の数字で推移しています。

戦後最長の「いざなぎ景気」を超えるという今回の好況については、実感が伴わないといった声が根強くあります。景気の勢いが弱い、デフレ圧力が強いなどさまざまな理由が挙げられますが、企業部門の好調が家計に波及していないことが最大の要因と考えられるでしょう。

利益を上げていながら、それが労働者の取り分に回らない理由には、バブル期の多額の設備投資や公共投資が減耗してきた、また、技術進歩のスピードが増す中、IT関連財などを中心に、設備は陳腐化しがちであるなど、これまでにない社会的な資本減耗の比重が高くなっていることに加え、中国や韓国などに対する国際競争力を確保するために、人件費はできるだけ抑制しておきたいという企業サイドの長期的視野に立った思惑があります。

また一方で、賃金据え置きが恒常化し、あらゆる業界において、給与体系が“ベースアップ型”から“業績連動型”へと移行していることもあります。それらに加え、雇用体系として、正社員よりも賃金水準が低いパートや契約社員の比率が増えたことも影響しているのでしょう。

こういった背景を鑑みると、今後も労働分配率が上昇する要素は少ないように思われます。しかし、企業業績の回復が個人の所得に波及して、個人消費の回復につながってこそ、本当の景気回復と言えるのではないでしょうか。

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