コーポレートガバナンス・コード
コーポレートガバナンス・コードとは?
「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」とは、企業が株主をはじめ、顧客や従業員、地域社会などさまざまなステークホルダーとの望ましい関係性や、企業を監視する取締役会などの組織のあるべき姿について記述した文章のこと。透明性があり、公正かつ迅速な意思決定を行うための仕組みとして機能しています。日本企業のガバナンスの底上げを目的に、2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で策定し、2021年6月に改訂されました。
2022年の市場区分見直しに向け
さらなるガバナンス強化のためコード改訂
コーポレートガバナンス・コードが策定された背景には、2014年に安倍内閣が閣議決定した『日本再興戦略 改訂2014』の主要施策の一つとして、コーポレートガバナンスの強化が示されたことがあります。それを受けて、日本企業がグローバル競争に打ち勝てるよう、金融庁と東証とが共同でガイドラインの原案をまとめました。
コーポレートガバナンス・コードには、法的な強制力や罰則はありませんが、イギリスが採用している「従うか、説明せよ(comply or explain)」という原則に基づいています。従わない場合には理由を説明する責任が発生する、という考え方です。
2021年6月には、金融庁と東証はコーポレートガバナンス・コードの一部改正を行いました。改訂の主なポイントは次のとおりです。
1. 取締役会の機能発揮
・プライム市場(2022年に新設される上場基準が最も厳しい市場)の上場企業は、独立社外取締役を3分の1以上選任すること
・経営戦略に照らして取締役会が備えるべきスキル(知識・経験・能力)と、各取締役のスキルとの対応関係の公表 など
2. 企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保
・管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)に関する測定可能な目標を設定すること など
3. サステナビリティを巡る課題への取組み
・プライム市場上場企業は、サステナビリティについて基本的な方針を策定し、自社の取り組みを開示すること など
東京証券取引所は、2022年4月4日に市場区分をプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の三つに見直します。今回のコーポレートガバナンス・コードの改訂は、とくにプライム市場の上場企業に対して一層高いガバナンスを目指すことを促す内容となっていますが、他の先進国と比べて見劣りしていた多様性やサステナビリティへの取り組みも追記された形となっています。企業には、コンプライアンスを遵守する「守りのガバナンス」のみならず、企業の持続的成長を意識した「攻めのガバナンス」が一層求められています。
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