粉飾決算
粉飾決算とは?
会社の業績を実態よりも過大に見せたり、または過小に見せたりするため、経理内容に操作を加えた決算のことを言います。とくに利益をかさ上げして表示するケースが多く、過小に見せかける場合はこれを区別して「逆粉飾決算」と呼ぶこともあります。
会社の業績を実態よりも過大に見せる
経営者にとっては「麻薬」のような手段
ライブドアの粉飾決算は、株式交換による企業買収の名目で新規発行した自社株を、実質的にライブドアが支配する投資事業組合に取得させ、海外取引を駆使して秘密裏に売却したうえ、その売却収入の一部を2004年9月期の連結決算で、不正に売上に計上した疑いによるものです。
虚偽の決算を有価証券報告書に記載した場合、証券取引法違反の罪に問われ、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられますが、粉飾決算に基づいて配当した場合には、商法の違法配当罪にも問われることになります。
典型的な粉飾決算は、売上の水増しや在庫の架空計上などによって行われるもので、仕入原価がまったくかからない売上を計上するため、粉飾の効果を大きくできる半面、粗利益率が前期に比べて大きく変動してしまうことから、発見されやすい粉飾とされています。これに対して、人件費や設備投資(=減価償却費)などに手を加えるやり方は、粉飾する側も煩雑な操作を加えますから、なかなか発見されにくくなります。
いずれも、その動機としては対外的信用の維持や資金調達、あるいは経営陣の保身によるものが多く、ライブドアのケースでも企業買収を繰り返すための原資として株価を高値に維持する必要から粉飾されたと見られます。ただし、その手口は株式の売却収入をダミー法人を通してライブドアに還流させたり、海外のタックスヘブン(租税回避地)を経由するなど複雑な金融操作を伴う悪質なものでした。
過去最大の粉飾決算は日本長期信用銀行でその額は約3500億円。山一證券も簿外債務約2600億円を隠蔽し、最近では、カネボウが総額2100億円を粉飾していたとされます。
倒産・破綻時に巨額の粉飾決算が明らかになったのは、山陽特殊鋼、日本熱学、不二サッシ、リッカー、そして日本長期信用銀行や山一證券などでしたが、山陽特殊鋼を除くといずれも再建できませんでした。
粉飾が行われると証拠を隠滅して粉飾を施した決算書だけを手元に残すため、それが長期にわたって繰り返されると累積的な粉飾が誰にもわからなくなってしまいます。経営者にさえ経理の実態や会社の置かれた状況が把握できなくなるわけですから、すべてが明るみに出た時点では、再建の糸口も再建させるだけの強固な意思も残っていないことが多いのです。経営者にとっての粉飾決算とは、まさに麻薬のようなものと言えます。
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