「ホワイト物流」推進運動
「ホワイト物流」推進運動とは?
「ホワイト物流」推進運動とは、国土交通省、経済産業省、農林水産省が主導する取り組みで、トラック運転手の深刻な人手不足に対応し、物流の安定的な確保を目的とするものです。トラック輸送の生産性向上や物流の効率化に加え、女性や高齢者なども働きやすいホワイトな労働環境を整え、人手を確保することを目指しています。
宅配便の取扱数は過去10年で3倍に
物流を守るため、生産性の高い運用を
長らく労働環境や人手不足が問題視されてきた物流業界。2017年、ついに物流危機として業界がパンク状態に追い込まれたことは記憶に新しいのではないでしょうか。ECサイトの普及によって拡大した需要に対して供給が追い付かなくなり、宅配便最大手のヤマト運輸では社員の労働条件改善に向けて動く事態となりました。
国土交通省の調べによると、2008年度に32.1億個だった宅配便の取扱個数は、2018年度には43.0億個となっています。また、トラック運転手は1995年の約98万人をピークに、2015年には約77万人にまで減少。有効求人倍率は、2018年12月時点で全職業が1.57倍に対して、トラック運転手は約2倍の3.03倍となっています。
「ホワイト物流」推進運動は、業務効率化のため、荷主企業と物流業者がスムーズに荷物の受け渡しをできるようにすることを目的の一つとしています。例えば、これまでは納品先での積み込みや積み下ろし作業を先着順で行っていたため、無駄な待ち時間が発生していましたが、「予約受付システム」を導入して事前に作業時間を設定すれば、待ち時間の短縮や効率的な倉庫内作業が可能になります。
また、荷役作業では、手作業による積み降ろしが主流だった環境にパレットと呼ばれる運搬用の台を導入することで、力仕事を軽減させることができ、雇用の裾野を広げることが可能になります。賛同企業は自主行動宣言の必須項目に合意することで「ホワイト物流」推進運動に参画することができます。
2020年からのコロナ禍によってEC需要が再び拡大している今、国民生活に欠かせないインフラとなっている物流を守るため、物流事業者だけでなく、荷主企業や納品先企業、消費者としての個人が相互に協力して、効率的に運用していくことが求められています。
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