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【ヨミ】キンタイカンリ

勤怠管理

勤怠管理とは?

勤怠管理とは、企業や事業場が従業員の就業状況を正確に把握し管理することです。具体的には、出勤や欠勤状況、労働時間や残業時間、有給休暇取得状況などを管理します。勤怠管理の目的は、「適正な賃金の支払い」「過剰労働の早期発見や防止」「従業員の健康維持」を果たすことです。メンタルヘルスの不調や過労死、残業代の未払い問題など、昨今、企業と社員の間で労働環境を巡って多くのトラブルが発生しています。また、働き方改革関連法の施行による影響など、勤怠管理について企業が理解しておかなければならないことが増えています。

更新日:2023/01/23

1. 勤怠管理とは

1. 勤怠管理とは

「勤怠」という言葉には、「出勤と欠勤」という意味があります。具体的には、従業員がいつ出社・退社して何時間働いたのか、そのうち残業は何時間か、休暇はどのくらい取っているのか、欠勤などの不就労はなかったかといった勤務状況を指しています。そのため「勤怠管理」には、どのくらい働く予定でどの程度達成されたのか、出勤状況だけではなく欠勤状況の管理も含まれます。

人事管理、労務管理との違い

勤怠管理と人事管理、労務管理との違いは、次のように定義されます。

勤怠管理と人事管理、労務管理との違い
  • 人事管理:人材の処遇全体をカバー
  • 労務管理:労使関係、労働条件をカバー
  • 勤怠管理:労働条件の中でも労働時間や休日などの分野をカバー

人事管理では、人材に関する処遇全体が管理する範囲となります。人事管理の中で、労使関係や労働条件など労務に関する項目を管理するのが労務管理。さらに労務管理の中でも、労働時間や休日など勤怠に関する範囲を管理するのが勤怠管理です。「人事管理>労務管理>勤怠管理」の順に管理範囲が狭くなり、勤怠管理は人事管理の中の一部を担うものと定義されます。

勤怠管理で管理しなければならない項目

ガイドラインなどにより法的に定められているもの
  • 労働日数
  • 始業・終業時刻
  • 労働時間数
  • 時間外労働時間数
  • 深夜労働時間数
  • 休日労働時間出勤数
  • 有給休暇日数・残日数
その他、実務上管理した方がよいもの
  • 欠勤日数
  • 休憩時間
  • 早退・遅刻の回数や時間数

参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省

勤怠管理をする必要のある事業場

賃金の適正な支払いにおいて、勤怠管理が必要となる事業場は、労働基準法のうち労働時間にかかる規定(労働基準法第4章)が適用される全ての事業場です。農業や水産など、自然・天候などによって仕事をする日が左右される一定のものを除いて、従業員を雇うほぼ全ての事業場が対象となっています。

  • 労働者数 50人以上の場合
    …産業医を選任する必要があり、産業医に対して、勤怠などの情報を提供する必要がある
  • 労働者数 50人未満の場合
    …医師または保健師に対して、勤怠などの情報を提供するように努める必要がある

勤怠管理の対象となる労働者

賃金の適正な支払いにおいて、原則、全ての労働者が勤怠管理の対象です(ただし、管理監督者や役員、みなし労働時間制が適用される労働者は含まれない)。

過剰労働の防止・従業員の健康の維持においても、原則、全ての労働者が勤怠管理の対象です(高度プロフェッショナル制度対象労働者を除く)。労働安全衛生法では、管理監督者や役員、みなし労働時間制が適用される労働者も含まれます。

労働時間とは

労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことです。使用者の指揮命令下に置かれているかどうかは、明確な指示の有無にかかわらず、客観的に見てその行為が使用者から義務付けられたものであるかどうかで判断します。

就業規則などに記載された時間とは異なるため、注意が必要です。例えば、制服に着替える時間や職場の清掃、仕事がない間の待ち時間なども労働時間となります。ただし、高度プロフェッショナル制度対象労働者は、「健康管理時間(事業場内にいた時間+事業場外において労働した時間)」が管理の対象です。

2. 勤怠管理の業務内容

2. 勤怠管理の業務内容

勤怠管理において課された義務を果たし、適切な管理をするために、企業は次の業務を行う必要があります。

適切な勤怠管理を行うための企業義務

  • A.労働時間の記録
  • B.給与計算への反映
  • C.違反状態がないかを確認

A. 労働時間の記録

働き方改革関連法の一環として労働安全衛生法が改正され、2019年4月から、会社には労働者の労働時間を「厚生労働省令で定める方法」によって客観的に把握することが義務付けられました(労働安全衛生法第66条の8の3)。

「厚生労働省令で定める方法」には次の方法が定められており、作成した記録は3年間の保存が義務付けられています(労働安全衛生規則第52条の7の3)。

  • タイムカードやICカードによる記録
  • PCなどの使用時間による客観的な記録法
  • その他の適切な方法

労働時間を適切に把握するには、客観的な方法を取ることに加え、従業員の勤務日ごとの始業・終業時刻の記録が必要です。そのため、従業員にも以下を守ってもらう必要があります。

労働時間を申告する手間を理解してもらう

労働時間の申告には、従業員に手間がかかります。例えば、出勤簿・タイムレコーダーの行列に並んだり、直行直帰時には労働時間を記録しておいて後で申告したりしなければなりません。従業員が申告を手間だと感じると、時間を雑に申告してしまうなど正確な記録の妨げになる可能性があります。

従業員の手間を軽減するには、直行直帰の際にスマートフォンなどで外部からも申告可能な勤怠管理システムを導入するなど、自社の勤務体系にあった管理方法を検討するといいでしょう。また、申告のルールが現実的に運用可能なものになっていることも重要です。

記録ミスをなくす

従業員による記入・打刻の漏れやミスがあるようでは、正確な労働時間を把握できません。勤務管理を正確に行うことの目的やその重要性を従業員に説明して理解してもらい、ミスをできるだけ減らすように注意喚起する必要があります。

ミスが頻発する場合は、その原因を分析し、原因を取り除けるような勤怠管理の方法を検討しなければなりません。例えば、紙の出勤簿への記入時や表計算ソフトに転記する過程でミスが起こるなら、記入や転記が不要な勤怠管理システムを採用するなどの対応が考えられます。

不正申告を行わない

勤怠管理の方法によっては、同僚にタイムカードを打ってもらうなど、労働時間を不正に申告することができてしまいます(本人が申告する原則に反する)。また、部署や会社から無言の圧力を感じて、タイムカードに退勤時刻を打った後で残業しているケースも見られます(虚偽申告)。

こうした不正申告をなくすには、従業員個人の良心に委ねるだけではなく、不正行為ができない仕組みが必要です。ICカードなどで本人しか打刻・記録できないようにしたり、PCや社内システムへのログイン履歴を勤怠管理システムへ自動で取り込んだりするなど、本人による自動記録という方法が考えられるでしょう。

B. 給与計算への反映

適切な勤怠管理による労働時間の記録は、正確な給与計算を行う上でも大切です。月給制の場合でも、残業時間や欠勤などの変動部分によって毎月の給与額が変わってきます。

「ノーワーク・ノーペイの原則」を基本に考える

従業員に何らかの理由が生じて労働しなかった場合、使用者には金銭を支払う義務が生じないという考え方が「ノーワーク・ノーペイの原則」です。この原則は、体調不良のように労働者側に責任が生じている場合と、天災などで労働者と会社のどちらにも責任がない場合に適用されます。会社都合による休業や自宅待機など、会社側に責任がある場合や年次有給休暇などには適用されません。ノーワーク・ノーペイの考え方は、労働者は労働後でなければ報酬を請求できないとする、民法第624条が根拠となっています。

欠勤控除・遅刻早退控除と減給は区別して考える

ノーワーク・ノーペイの原則に従い、欠勤や遅刻・早退など、労働しなかった分の賃金を差し引くのが「欠勤控除」「遅刻早退控除」です。欠勤控除・遅刻早退控除は、月給制の場合は欠勤した分の賃金を月給から差し引きますが、働いていない分を支払わないだけでペナルティーではありません。欠勤に対するペナルティーは「減給」という懲戒処分の一種で、就業規則への記載が必要であり、減給額には上限が設定されています。

従って、労働時間の記録を給与計算に反映する段階では、欠勤・遅刻早退に対するペナルティーとしての減給などは行わないようにします。減給の措置を取る場合も、いきなり行うのではなく、適正な手続きや相当性についての考慮が必要です。

遅刻早退を給与計算に反映させる方法
遅刻早退を給与計算に反映させる場合の方法は、下記に詳しく解説しています。
法律に明確な定めがないため、自社のルールを確立させることが大切です。

遅刻早退控除の計算方法|日本の人事部

C. 違反状態がないかを確認

勤怠管理業務においては、労働時間の記録や給与計算への反映とともに、違反状態がないかどうかの確認が必要です。法令に違反すると、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、従業員から訴訟を起こされたりする恐れがあります。ブラック企業という評価を受ければ、会社のイメージが損なわれ、経営全体への悪影響が生じることも考えられます。法令違反を回避するには、次の点に留意することが必要です。

時間外労働や休日労働の超過がないか

まず、記録された勤怠状況に時間外労働や休日労働の超過などの違反状態がないかを確認します。改正労働基準法により、大企業は2019年4月より、中小企業は2020年4月から、36協定の締結にかかわらず、次のように時間外労働の上限が設定されました。

時間外労働の上限

○原則として、時間外労働の上限は月45時間・年360時間

○臨時的な特別の事情により労使が合意する場合(特別条項)においても、以下を守る義務がある

  • 時間外労働:年720時間以内
  • 時間外労働+休日労働:月100時間未満
  • 時間外労働+休日労働:2ヵ月〜6ヵ月平均の全てにおいて、1ヵ月あたり平均80時間以内
  • 月45時間超の時間外労働は、1年で6ヵ月までが限度

上記に違反すると、6ヵ月以下の懲役あるいは(時間を超過した従業員1人あたり)30万円以下の罰金が科されるため、注意が必要です。

時間外労働削減の取り組みの基本

取り組みの例としては、残業を事前に申請する制度を導入する方法があります。残業の事前申請を受けることで、従業員の担当業務や量に対して残業が適正かどうかを管理者が事前に確認し、承認・否認を決定するといった管理が可能です。

また、業務ローテーション制を採用する方法もあります。従業員がさまざまな業務を担当することで、業務が属人化されずに平準化され、業務にかかる時間の削減効果が期待できます。

記録と勤怠の実態とに大幅な乖離(かいり)がないか

記録された勤怠状況に違反がない場合も、記録と勤怠の実態とに大幅な乖離がないかどうかを調査する必要があります。実際に、自己申告の内容と実態とに乖離があり、従業員の健康状態が悪化しているという例があります。この場合、企業側が安全衛生義務を怠っているとして責任が問われる可能性があります。

記録と実態との乖離を生じさせないためには、乖離が起きる原因を特定して、適切な対策を取ることが重要です。

乖離の原因の一つに、従業員自らが労働時間を正確に申告しない点が挙げられます。よく見られるのは、残業をしているのに、正しい残業時間を申告しにくい雰囲気が職場にあるという理由から過少申告をしているケースです。この場合、単に残業時間の削減をうたってもサービス残業が減らないという問題にぶつかります。職場風土の改善対策を講じるとともに、正確な時間を申告するよう徹底することが必要です。

従業員の健康管理には、正しい残業時間の申告が当然であるという土壌をつくり、PCのログイン履歴の記録を活用するなどして不正申告が起こりにくい仕組みの導入も検討するといいでしょう。

3. 勤怠管理の方法

3. 勤怠管理の方法

勤怠管理の代表的な方法には、次の四つが挙げられます。

勤怠管理の代表的な方法4つ

  • 1)手書きの出勤簿
  • 2)タイムカード
  • 3)表計算ソフト(Excelなどを含む)
  • 4)外部の勤怠管理システム
どのような方法でも運用が大事

原則として、どの方法を選ぶにしても、記録と勤怠の実態とが乖離しない管理が重要です。たとえ優れた勤怠管理システムを利用したとしても、運用に問題があれば労働基準監督署の指導対象になってしまいます。逆に、運用がしっかりしていれば、手書きの出勤簿を利用していても問題は生じません。

勤怠管理を適切に行うには、まずは管理職・従業員ともに、正しい勤怠状況を記録して虚偽や不正な申告をしない意識を形成することが重要です。現状として長時間労働が多い場合も、不正によって数字の上だけで労働時間を減らそうとしてはいけません。まずは正確な労働時間を記録し、現状を把握しながら、原因を取り除く取り組みを重ねていきます。

勤怠管理における代表的な四つの方法について、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

1)手書きの出勤簿

手書きの出勤簿

従業員が手書きで業務の開始・終了時刻を自己申告し、会社が確認する方法です。出勤簿による大人数の勤怠管理は非効率なため、従業員が少ない会社に向いています。

・メリット…他の方法と比べるとコストがかからず、すぐに始められることです。かかる費用は、紙や市販のシート、筆記具代など。

・デメリット…集計作業に手間がかかることや、記入・集計ミスが発生しやすいこと、簡単に不正申告ができてしまうことなどが挙げられます。客観性の担保が難しいため、申告された勤務時間が本当に正しいかどうかを会社が把握する仕組み作りが必要となります。

2)タイムカード

タイムカード

出勤簿と同様に、長く使われてきたのがタイムカードです。従業員が手書きまたはタイムレコーダーで業務の開始・終了時刻を記録し、会社が確認します。タイムカードは集計作業に時間を要するため、紙の出勤簿と同様に、従業員が多い場合は向いていませんが、正社員よりも管理項目が少ないパートやアルバイトの時間給を管理する場合には有効といえるでしょう。

・メリット…勤怠管理システムよりもコストがかからずに比較的安価で導入できること、また、高齢者や外国人でも覚えやすいことです。

・デメリット…回収や集計作業に手間がかかること、打刻漏れやミスが発生しやすいこと、他人などによる不正打刻が可能なことなどです。

さらに、紙の出勤簿と共通するデメリットとして、直行直帰時などに社外からの入力・管理ができないこと、従業員の労働時間をリアルタイムで把握するのが難しいこと、申請・承認のフローを作りにくいことなどが挙げられます。特に、集計するまで長時間労働の実態を把握できない点は、長時間労働への対策を進める上でデメリットといえます。

3)表計算ソフト(Excelなどを含む)

表計算ソフト(Excelなどを含む)

Excelなどの表計算ソフトを活用して計算式を組み、業務の開始・終了時刻を入力します。紙の出勤簿やタイムカードなどで記録した時刻を表計算ソフトに入力し、ダブルチェックを行うケースもあります。

・メリット…既にPCがあるならコストがほとんどかからないこと。また、既存テンプレートをダウンロードすれば簡単に導入できること、自動集計のため紙の出勤簿やタイムカードよりも手間が少ないことなどもメリットといえます。給与の計算式を加えて作業を短縮したり、CSVファイルを使ったりすることで、勤怠管理システムと連動させることもできます。

・デメリット…計算式に間違いがあると集計結果も間違ったものになることです。既存のテンプレートでも、予期せぬ入力ミスで数式が上書きされてしまうこともあるため、手書きとは違ったファイルの確認が必要です。

4)外部の勤怠管理システム

外部の勤怠管理システム

近年、表計算ソフトの進化形として導入が増えているのが、外部の勤怠管理システムです。PCやスマホ上で勤怠管理システムを立ち上げ、出勤・退勤などのボタンをクリックすれば時刻が打刻・記録されるといった仕組みになっているものが多く、入力の手間もそれほどかかりません。勤怠管理システムの種類には、自社のPCにインストールするインストール型と、ネットワーク上のシステムをインターネット経由で利用するクラウド型があります。

・メリット…客観的な方法で勤怠管理ができることを始め、リアルタイムで従業員の労働時間を把握できること、申請・承認のフローが整備されていること、自動集計のため手間が少ないこと、入力・集計ミスが発生しにくいことなど多数挙げられます。クラウド型なら、社外からスマホで簡単に入力・管理することができます。

・デメリット…他の方法と比べて、実費や導入検討のコストがかかることです。勤怠管理システムを導入する際は、自社の勤務体系に合ったシステムを選ぶことが極めて重要です。従業員が使いづらさを感じると、有効に活用されないことも考えられるため、慎重に検討しなければなりません。

おすすめ勤怠管理システムと選び方
下記では、勤怠管理システムを選ぶポイントと、『日本の人事部』がおすすめするサービスを掲載しています。よりよいシステム選びにお役立てください。

業務効率化と労務管理リスク回避をかなえる おすすめ勤怠管理システムと選び方|日本の人事部

勤怠管理への意識を高める

四つの勤怠管理方法を紹介しましたが、いずれも、勤怠管理への意識が低い状態では適切な運用は困難です。まず従業員に適切かつ正確な勤怠管理の重要性を認識してもらった上で、自社の勤怠管理における課題を洗い出し、課題を解決できる方法を選択することがスムーズな運営へとつながります。例えば、外部の勤怠管理システムの導入により、月末の集計を待たずにリアルタイムで長時間労働の把握ができれば、労働時間を削減する対策をすぐに取ることもできます。

記録と実態との乖離という不正な状況を防ぐには、従業員自身が、正しい勤怠管理を行うことで自らの健康管理につなげるという意識を持つことが大切です。勤怠管理は、単に法令遵守や給与計算など事業主のために行うものではありません。正しく運用することで健全な職場環境を実現するという、共通認識が重要です。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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東京都 その他業種 2022/01/14

 

ジョーギリアンさんが参考になったでオススメしました

大阪府 商社(専門) 2022/07/19

 

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