企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ナイブツウホウセイド 内部通報制度

「内部通報制度」とは、ある組織内で法令違反や不正行為といったコンプライアンス違反が発生したとき、またはその可能性があることを知ったときに、従業員が直接通報できる窓口を設けている制度のこと。組織によってその名称はさまざまで、「ホットライン」「ヘルプライン」「コンプライアンス相談室」などと呼ばれることもあります。しばしば「内部告発」と混同されますが、内部告発は不正行為を行政・司法機関、消費者団体、マスコミなどの外部に情報を提供することであり、内部通報とは大きく異なります。内部通報には組織として改善できる余地が残っているため、自浄作用を促す機能の一つといえます。(2019/4/17掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

内部通報制度のケーススタディ

コンプライアンスの歴史は意外と短い
日本で内部通報制度が浸透するまで

現在は、法律や社会的通念を守る「コンプライアンス」の考え方が、広く浸透しています。コンプライアンスが重視されるようになったのは、2000年代以降。日本におけるコンプライアンスの歴史は、意外に浅いのです。当時の日本では、「規制緩和による経済活性化」が大きなテーマとして掲げられていました。経済の発展を促すために、企業の自由な活動を認める動きが進んでいたのです。しかし、企業が「自由」をはき違えると、国民の生活や社会の安全公正が保てなくなります。そのため、企業の動きを監視する機能や情報公開を求める声が強まっていきました。

2000年当時、内部告発に端を発した不祥事が続発したことを背景に、2002年に日本経済団体連合会が「企業行動憲章」を改訂し、内部通報制度の導入を奨励しました。導入する動きは徐々に広がっていきましたが、当時はまだコンプライアンスという言葉が一般的ではなかったため、内部通報には密告者のイメージがつきまとっていたのが実状でした。そこで2004年に「公益通報者保護法」が制定され、2006年4月に施行。通報者が解雇などの不利益を被らないよう保護する義務を企業に課したことで、内部通行制度が急速に活発化していきました。

内部通報制度が導入されて10年あまり。導入当初は、「通報がまったくない状態が理想的」と考えられていましたが、現在では「一定数の通報が寄せられる方が健全だ」という考え方が主流になっています。株式会社エス・ピー・ネットワークが運営する「リスクホットライン」によると、1社内で100人あたり年間0.5~0.8件程度の通報件数が「一定数」の平均と考えられており、この数値より高い場合は、きめ細やかな周知が行われているといえます。ただし、あまりにも数値が高い場合には、「なんでも通報してしまえ」と過度に利用されている可能性もあります。反対に平均より少ない場合には、内部通報制度の周知が行われていない、あるいは不十分であると考えられます。

内部通報制度の意義は「リスクの早期発見・早期対応」です。内部告発によって企業のブランド価値を下げることなく調査・是正措置を行うことで、健全な経営、健全な人間関係、健全なビジネスを保てるのが内部通報制度のメリット。ベンチャー企業でも、ある程度まで従業員数が増えたら、導入を検討した方がよい制度の一つでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

コンプライアンス
英語ではcompliance、邦訳は「法令順守」です。ここ数年、企業不祥事が相次いだことから、企業が法令や社会規範などに違反しないシステムをしっかり整備し、社員や消費者、社会や株主などのステークホルダー(利害関係者)の立場に立って経営を行うことをコンプライアンスと総称するようになりました。
ボランティア休暇
「ボランティア休暇」とは、企業が従業員のボランティア活動への参加を支援・奨励する目的で、有給の休暇・休職を認める制度のことです。1990年代はじめから、労働時間短縮の流れや企業に対する社会貢献の要請の高まりをうけて、制度を設ける企業が急増。95年の阪神・淡路大震災における市民ボランティアの大活躍を...
トータル人事制度
人事評価、目標管理、賃金・賞与、人材育成などの制度がトータルに連動した人事制度。年齢や勤続年数にとらわれず、高い成果や業績を上げた社員を高く評価するとともに、その結果を公平かつ適正に賃金などの処遇に反映させることで、社員のモチベーションに応えることを目的としています。

関連する記事

一般的なコンプライアンス対策
法令違反が起こりにくい企業体質をつくりあげるためには、「コンプライアンス体制の整備」と「コンプライアンス啓蒙活動の徹底」の両輪が不可欠だ。ここでは、企業がコンプライアンス違反を出さないための様々な対策について整理する。
2013/03/22掲載よくわかる講座
コンプライアンス経営とは
2000年以降、コンプライアンスが重視されるようになったのはなぜか。コンプライアンス経営への具体的なアプローチとそのメリットについて探る。
2017/01/31掲載よくわかる講座
コンプライアンス対策導入の注意点
コンプライアンス対策導入の注意点を解説。コンプライアンス対策の基本的なスタンスやコンプライアンス対策の際の外部ブレーンの活用法、継続的なコンプライアンス体制の維持などについて、整理する。
2013/03/22掲載よくわかる講座
管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

仕事と介護の両立支援セミナー

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


管理職のコミュニケーション能力を高める!ソリューション特集

今求められるコミュニケーション能力・マネジメント能力とは


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「働きがい」が業績向上を実現する<br />
~成長する組織をつくる働き方改革~

「働きがい」が業績向上を実現する
~成長する組織をつくる働き方改革~

すでに関連法令も成立し、「働き方改革」への対応は待ったなしの状況といえ...