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人事制度とは -意義・基本-

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人事制度がめざすものとは

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一般に経営資源と言えば「ヒト・モノ・カネ」が挙げられるが、中でも、企業が事業目的を達成するための重要なカギを握っているのはヒト、すなわち「人材」である。モノやカネは、優秀な人材さえいれば、その働きによって調達することが十分可能だ。しかし、いくらモノやカネがあっても、それを適切に運用する人材がいなければ、宝の持ち腐れになってしまう。さまざまな経営課題をつきつめていくと、最終的には「企業は人なり」という結論に到達する。

しかし、優秀な人材がそろっていればよいというものでもない。まず、人材がその能力を十分に発揮できる環境や組織が必要だ。また、仕事に対するモチベーションを高める仕組みも欠かせない。能力のある人材が適材適所で配置され、事業目的を十分理解した上で役割や責任を果たし、高い意欲で仕事に取り組んではじめて、人材はその企業にとって価値あるものとなる。

「人事制度」とは、こうした「企業の競争力や価値を向上させる組織」や「従業員の意欲・能力を向上させる仕組み」を制度として体系化したものである。事業目的から導き出された経営戦略を、人材マネジメントの側面から具体化したものと言い換えられる。

人事制度の構成要素

人事制度は、企業が経営戦略を実行するために定めた、人事上のさまざまな施策の集合体だ。その中核的役割を果たすのが、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」である。人材に対する評価によって等級や報酬が決まっていくほか、等級によって評価の項目や基準、あるいは給与テーブルが変化するなど、それぞれの制度は相互に深い関係を持っているのが一般的である。

また、これらの制度の実際の運用といえる「要員配置」「昇格・降格」「人材開発」「コース別人事」「グループ人事」なども、人事制度を構成する重要な要素だ。また「役職定年制度」や「早期退職制度」といった人事制度を導入する企業も増えている。

■ 企業経営における人事制度の位置づけ
企業経営における人事制度の位置づけ

1)等級制度

従業員を「能力」「職務」「役割」などによって序列化する、人事制度の骨格ともいえる制度。人材の序列や責任、権限などもこの制度によって定められた等級が根拠となって決まる。何を基準に等級を定めるかには、その企業の人材観が反映され、組織デザインや企業風土にも大きな影響力を持つ。

2)評価制度

一定期間の従業員の行動や成果を評価する仕組みを定めた制度。何を評価するか(評価項目)、どう評価するか(評価基準)を明示することで、従業員の行動を方向づける。評価の結果は等級や報酬に反映されると同時に、等級が変わることで評価の項目や基準も変化する。

3)報酬制度

給与や賞与といった報酬の仕組み。一般的に給与は等級ごとに一定のレンジ(上限と下限)が定められており、評価によってそのレンジ内での昇給や賞与などが決まるシステムになっていることが多い。また、退職金制度や福利厚生などもこの報酬制度の一部に含めて考えられる。

4)組織と人材活用、人材開発

等級・評価・報酬制度によって組織の基本デザインはできあがるが、それを実際に運用していくことも人事制度をつくることと同様に重要となる。ジョブローテーション、キャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)、タレント・マネジメント・システムなどによる要員配置、人材開発・教育などが的確に行われることで、人事制度は「経営目標を実現する」という本来の目的に寄与する制度となるのである。

人事制度構築の際の注意点

新会社を除いて、人事制度を再構築したいと考える企業は、「人」に関して何らかの問題を意識していることが多いはずだ。しかし、人事制度を構築する場合、顕在化している問題の解決だけを目的にすると失敗につながる。

もともと人事制度は、「事業目的、経営戦略に最適の組織をつくる」ためのものだ。目先の問題解決だけでなく、まず「自社にとって最適の組織とはどのようなものか」を考え、そのための組織デザインを進め、あわせて現在抱えている課題も解決していくことが望ましい。

また、「企業理念」=「人事制度」=「人材」が、一本の軸でつながっていることも重要である。たとえば、「和を尊ぶ経営理念」で「親和性・協調性の高い人材」が働く企業に、「成果主義人事制度」を導入しても決してうまくいかない(下図)。

■ 人事制度が不適合となるケース
人事制度が不適合となるケース

成果主義人事制度が本来の効果を発揮するのは、企業理念が「自立と自己責任を尊ぶ経営理念」で、そこに働く人材も「競争性・自立欲求の高い人材」であった場合である。「和を尊ぶ経営理念」で「親和性・協調性の高い人材」が働く企業であれば、人事制度もまた「チーム成果も含めた育成的人事制度」を基調にすべきだろう。

■ 人事制度が適合するケース
人事制度が適合するケース

出所:株式会社クイック ヒューマンキャピタル研究所

つまり、人事制度はそれだけが独立して存在したり、成果を出したりできるものではない。企業の経営理念、経営戦略、またそこで働く人材との関係を考慮して構築していくべきものだといえる。


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人事制度とは

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