大手広告代理店で過労死と労災認定された事案
先日、大手広告代理店で入社2年目の女性社員が、時間外労働100時間を超える長時間労働やパワーハラスメントなどを苦にして過労自殺(過労死)したとして、労災認定を受ける事案があり、センセーショナルに報道されました。
この大手広告代理店では過去にも同じように長時間労働などの労働環境を苦にして若手社員が自殺し、労災認定を受けると言う事案があったにもかかわらず、長時間労働を当然のものとする社風や会社の体質は全く変わっていなかった事に多くの人々が驚き、若い社員の未来を奪った会社に非難が集中しました。
この会社では、長時間労働は多くの社員において常態化しており、この女性社員も時間外労働100時間を超えると認定されましたが、実際はそれ以上の残業を強いられ、上司によって過少報告をするよう指導されていた実態も明らかになりました。
自殺した女性社員はSNSに多くの書き込みを残していましたが、午前4時に今から帰る、という内容があったり、連日ほとんどの社員が残業をしている実態も綴ってありました。上司による飲み会などでの幹事の押し付けや、化粧や身だしなみに関するセクハラまがいのパワーハラスメント発言もあったことも書き込まれており、日常的に社内でこの女性社員に対するパワハラが行われていた事も分かります。
また、残業を重ねて作成した書類が上司の一言でやり直しを命ぜられたなどの書き込みもあり、日々仕事に追い詰められていく様子が残されています。生きている意味が分からない、と言うような絶望も書かれており、こういったSNSへの書き込み内容を受け、ネットでは炎上し、センセーショナルな報道に拍車がかかっていきました。そして、SNSへのこれらの書き込みは労災認定の一助になったと言われています。
この大手広告代理店はブラックな勤務環境が悪質だとして労働基準監督署(労基署)の捜査が入り、報道やSNSなどによってさらに詳細な実態が明らかになり、世間から批判を浴びました。その後、この会社では残業規制や消灯時間の順守などの対策を取ったようですが、帰りが早くなった代わりなのでしょうか、今度は午前5時には多くの階で電気が付いている様子が明らかになり、そう簡単には会社の体質は変わらないようです。
万一、過労死による労災認定をされる会社になってしまうと、ブラック企業の代表格として世間から叩かれるだけでなく、社会的な信用を失ったり、事件以降の人材採用にも暗い影を落としてしまいます。“社風”や“企業体質”について、それぞれの会社が見つめ直す機会なのかもしれません。
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鈴木 孝裕(スズキ タカヒロ) 株式会社ウェブサーブ 代表取締役
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