労働審判制度とはどんな制度?
仕事をしていると、従業員と事業主の間で、賃金未払や理不尽な解雇、パワハラ、セクハラなどの問題が発生する事があります。それを解決しようと話し合いをしようとしても、従業員の立場は弱く会社側が話し合いに応じてくれないことも少なくありません。そのようなときに、迅速かつ公平な解決をするために設けられたのは労働審判制度です。
従業員と事業主の問題ならば、訴訟をする事もできますが、労働審判制度の場合には、取り扱うケースは従業員全体ではなく、個別の問題だけということになり、その分、柔軟かつスピードのある解決が望めます。
どのようにして労働審判が行われていくのかというと、最初は問題を抱えた従業員が地方裁判所に申し立てを行います。申し立ての際には申立書、申立手数料(収入印紙)と郵便切手、法人相手に審判を行うときには商業登記簿謄本か登記事項証明書など、雇用関係を証明する雇用契約書、そして申立人が争点について自分の主張を証明するタイムカードや解雇通知書などです。パワハラやセクハラの事実を証明するために、申立人が相手に無断で録音や録画をした記録というのも、労働問題においては十分な証拠として認められます。
申し立てが認められると、今度は労働審判委員会による審理が行われます。裁判官が労働審判官となり、過去の労働組合や企業の人事を経験して労働関係に詳しい人物を2名労働審判員として選出します。
労働審判官も労働審判員も、審理においてはどちらにも肩入れすること無く、中立の立場です。
労働審判委員会は、期日を3回以内として、双方の言い分を聞き、証拠を吟味して事実関係を調べていきます。その中で、もしもお互いに話し合いの余地があるならば、調停を進めて、そうでないならば、調べた事実を元に審判を出します。
労働審判の提示する審判は、法的拘束力が発生するので、もしも相手がその審判に従わないのであれば、強制執行を行うこともできます。
もちろん、その審判に不服が出ることもありますから、労働審判の告知を受けた翌日から2週間以内に、裁判所へ異議申し立てが出来ます。異議申し立てをすれば、審判の法的拘束力はなくなり、今度は争いの場が裁判へと移り変わることになります。
ちなみに、労働審判でのやり取りは、すべて非公開となりますから、外部に話し合いの内容が漏れることはありません。
この労働審判制度は、問題を早く解決できる所が良いところですが、内容によってはたったの3回で事実関係を調べて、双方が納得する解決方法を提示することは難しいという欠点があります。
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鈴木 孝裕(スズキ タカヒロ) 株式会社ウェブサーブ 代表取締役
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