次世代を育てる
「次世代を育てる」をテーマにお話したいと思います。
先日、定年を向かえ2年が過ぎた先輩の様子を伺う機会がありました。
この頃どうしておられるかお聞きすると、
「月3~4回の旅行とその計画だよ」ということでした。
そのとき、ふと頭に浮かんだのが、
心理学者エリクソンのいう「ジェネラティビティ(generativity)」という言葉です。
ジェネラティビティとは、
「次世代が価値を生み出す行為に積極的に関わっていくこと」であり、
次の世代を育てようという関心や欲求のことです。
この先輩を批判する意味ではないのですが、
もし退職後の関心が、自生活の楽しみ中心なのであれば寂しさを禁じ得ません。
大阪大学大学院準教授で宗教的利他主義を研究する稲葉圭信先生は、
その著作『利他主義と宗教』のなかでジェネラティビティは、
自然に生まれるのではなく条件が必要であると指摘します。
要約するとそれは以下の4つになります。
1. 一人の人間として認められ、誇りの持てる生き方をしてきた
2. 人とのつながりや温かさを感じてきた
3. 人や社会に感謝の念を持てるような環境にあった
4. 人の悲しみや苦しみを共感することができるような心が育つ環境にあった
私自身、日々悩み多き経営者やマネジャーの方々とともに悪戦苦闘する者として、
まずは、安心してつながれる場をつくること、
そして、相手や組織を思いつつ、厳しく踏み込める関係性があることが、
組織において重要であると実感しています。
「ジェネラティビティ(generativity)」は、「生成継承性」と訳され、
「生み出す」と「継承する」という矛盾する概念を合わせた造語です。
世代を超えて、新しいものを生み出しながら、古いものを継承していく、
長い時間軸で次世代に思いを馳せ、自分の責任を果たしていく。
これは、組織や企業、延いては人類が発展していくうえで
欠かせない重要なことだと思います。
「次世代を育てる」連鎖に注力していきたいと気持ちを新たにした出来事でした。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- リーダーシップ
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
東洋思想とポジティブ心理学を援用した、“協奏する組織論”を提唱、本質的な組織開発を専門としている。
経営学博士としてのアカデミックなバックボーンと、現場での体験を活かした組織開発を実施。大手電気機器メーカー、大手精密化学メーカー、大手自動車メーカー、行政機関など組織開発の実績多数。特にミドルマネジャーを中核とした組織活性化を得意とする。
小森谷 浩志(コモリヤ ヒロシ) 株式会社ジェイフィール コンサルタント
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所在地 | 渋谷区 |