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【ヨミ】カイセイフセイキョウソウボウシホウ 改正不正競争防止法

営業秘密の持ち出しや不正開示などを処罰の対象とする新たな不正競争防止法。日本の国際競争力のさらなる維持・強化を図る観点から、一部が改正されて今通常国会に提出されました。
(2005/4/4掲載)

改正不正競争防止法のケーススタディ

社員の営業秘密の漏洩に厳しい罰則規定
5年以下の懲役や500万円以下の罰金も

中国、韓国など東アジア諸国の経済発展を背景に、企業間の競争が激しさを増しています。その競争力を支えているのは、各企業が独自に開発した技術、生産手法、顧客データなどです(これらを営業秘密と呼びます)。たとえば、日本のメーカーのデジタル家電の核となる技術が、アジアのライバルメーカーに知られれば、日本の競争力は一気に落ちてしまうでしょう。

しかし、これまで日本企業の社員が自社の営業秘密を海外で漏洩した場合の罰則規定はなく、また元社員が在職中に入手した営業秘密を、退職後に不正に使用・開示した場合も、秘密の記録媒体の横領や複製が伴わない限り、処罰されませんでした。中国や韓国では国益を守る観点から営業秘密の漏洩には厳しい刑事罰を課しています。そこで日本でも法律を改正して罰則規定を設けるなど、営業秘密の保護に乗り出したのです。

たとえば日本の半導体メーカーの社員が休暇をとって海外に出かけ、現地の半導体メーカー関連会社の技術者に営業秘密を使って技術指導を行った場合、あるいは金属材料メーカーの営業秘密を知っている社員を、競合他社がヘッドハンティングで引き抜き、退職後にその営業秘密を用いて金属材料を製造した場合などは、原則として5年以下の懲役か500万円以下の罰金が課せられます。

こうした動きを受けて、企業の間では営業秘密を外部に漏らさないことを社員との間で取り決める「秘密保持契約」を結ぶ動きが増えています。たとえば大手電機メーカーの三菱電機は昨年、就業規則に「企業秘密を漏洩してはいけない」の条文を盛り込むことで労使が合意しました。また経済産業省によると全体の6割強の企業が退職者との間で秘密保持契約を締結しています。

日本の営業秘密保護が諸外国に比べて手薄な状態にあるのは確かです。しかし一方で必要以上に罰則の対象を広げるべきではなく、妥当性のある場合に限定して処罰の対象とすべきという意見や、退職者による営業秘密の侵害については「職業選択の自由」(憲法22条1項)に十分配慮すべきとの声も出ています。

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