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【ヨミ】チホウソウセイ 地方創生

「地方創生」とは、2014年9月に発足した第二次安倍改造内閣がかかげる重点政策の一つで、地方の人口減少に歯止めをかけ、首都圏への人口集中を是正し、地方の自律的な活性化を促すための取り組みを指します。同年末に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」および「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、地方における安定雇用の創出を重要視する観点から、地方への本社機能移転を促すための税制措置や、外国企業の誘致に意欲的な地方公共団体の支援などの政策が盛り込まれました。
(2015/5/28掲載)

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地方創生のケーススタディ

決め手は企業移転――本社移せば法人税優遇
人材確保に子育て世代のニーズを活かせるか

「2020年までに地方の若者雇用を30万人創出」「東京圏から地方への転出を4万人増加」――昨年末に国がまとめた「地方創生」の方向性を示す総合戦略には、踏み込んだ数値目標がいくつも盛り込まれました。これらを実現するための戦略の重要な柱が、地方への企業移転。首都圏に一極集中している企業を地方に分散することで若者の雇用を生み出し、地方経済の活性化につなげるのがねらいです。移転を促す具体策として、企業が東京23区内から大阪、名古屋を含めた三大都市圏を除く地域に本社機能を移すと、移転先でのオフィス投資額の7%が法人税の支払い額から減免される特例措置が導入されました。さらに移転先の雇用が増えれば、企業は3年間で一人当たり最大140万円の税額控除を受けられます。

この地方移転促進税制の適用例第一号になると目されているのが、かねて富山県黒部市への本社機能の一部移転を予定していたファスナー大手のYKKです。東京都千代田区に本社を置くYKKは、東日本大震災をきっかけに、被災時も事業が継続できるよう機能の分散を検討。国内最大の製造拠点を擁し、創業者が生まれたゆかりの地でもある黒部市を本社機能の移転先に選びました。来春までに数百人規模の社員を黒部市へ異動させ、生産部門と他部門との連携を強化する方針です。富山を含めた北陸地方では、新税制に加え、北陸新幹線の金沢までの開業が強力な追い風に。神奈川県川崎市に本社があるユースキン製薬も、同県内の製造拠点と物流センターを来春までにすべて、富山県八尾市に移転する計画を進めています。

首都圏への中枢機能の一極集中を見直す動きは、YKKのように震災直後から、企業の一部で広がりつつありました。しかし一方で、その動きが「地方の人材不足」という壁に全国各地でぶつかっているのも事実です。たとえば積極的に企業誘致を進める鳥取県では、ここ5年で55件の誘致に成功したものの、移転した企業が地元での人材確保に苦慮するケースが相次いでいます。リーマンショック以降、大企業の地方からの撤退が深刻化し、専門的な技術などを持った人材が都市部へ大量に流出してしまったからです。このヒトの流れを何とか“反転”させて、地方へ向かわせなければ、企業移転を地方経済の活性化に結びつけることは難しいでしょう。

田舎への移住ブームが繰り返し発生している背景を考えると、地方に住むことに対する潜在的なニーズはけっして少なくはないはずです。移住希望者をサポートするNPO法人ふるさと回帰支援センター(東京)の利用者をみても、08年には約7割が50歳代以上でしたが、昨年は30~40代の子育て世代が半数近くに。かつてはシニアが主流だったU、Iターンなどの地方回帰が様変わりし、育児環境を重視したい子育て世代が祖父母の地元に戻る“孫ターン”の動きも出てきました。こうした働き盛りのニーズをどうやって企業移転の流れに取り込んでいくかが、今後の重要な課題と言えるでしょう。

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