役職序列
役職序列とは?
会社組織における役職は、事業活動に関する相応の責任と職権を伴う役目や職務のこと。代表取締役社長や専務取締役、本部長、部長など、各企業には組織の規模や形態に応じてさまざまな役職があり、その序列や企業内での位置づけを「役職序列」といいます。役職序列は、責任の所在を明らかにするとともに、企業の意思決定や指揮命令を円滑に進めるためのルールとして欠かせません。
「専務」も「常務」も法的根拠のない肩書
序列重視の順送り人事では世界で戦えない
株式会社には、法律に則って必ず設置しなければならない役職があります。その一つが取締役――一般に“役員”と呼ばれ、組織の最高意思決定機関である取締役会を構成する経営陣です。この取締役の中で最上位に序列され、会社の代表としての責任を担う役職を、代表取締役といいます。代表取締役は一人とはかぎらず、二人以上いる会社もあります。代表取締役と取締役は経営陣であり、従業員ではありません。かつては従業員だった人もいったん退職した上で、経営を担う取締役になる。これが商法上のルールです。
法律により企業が設置を定められている役職は、取締役と代表取締役、それに監査役を加えた3種類だけ。他のさまざまな役職、たとえば聞き慣れた「会長」「専務」「常務」「部長」「課長」などは、実は各企業の裁量において自由に設置・呼称される役職で、いずれも商法上は何の規定もありません。役割分担と序列づけのために必要な“肩書き”なのです。一般に、取締役の中での「役職序列」は以下のようになります。
1.会長(取締役会の議長であることが多い。多くは前社長が就任)
2.社長(代表取締役であることが多い。会社組織のトップ)
3.副社長(現場のナンバー2であり、社長直下の役職)
4.専務(社長を補佐して業務全般を管理する役員、常務より上位に置く企業が多い)
5.常務(社長を補佐する役員)
6.取締役(専務、常務などの肩書がつかない取締役、「ヒラ取り」と呼ばれる)
ちなみに、近年多くの企業に広がっている「執行役員」という役職は、役員待遇ですが、経営の意思決定を担う取締役ではありません。従業員の身分でありながら、役員になれるのが執行役員なのです。役職序列としては、役員の末席、取締役の一歩手前といったイメージでしょう。先ごろ、日本の代表的なリーディング・カンパニーで、いわゆる“ごぼう抜き”のトップ人事が相次ぎ、大きな話題となりました。三井物産の新社長の安永竜夫氏が32人抜き、デンソーの有馬浩二氏、富士通の田中達也氏は14人抜き、ホンダの八郷隆弘氏は9人抜きと、上位の役員を大きく飛び越しての抜擢となったわけですが、ごぼう抜きの人数以上に注目されたのが、いずれのケースも執行役員からの昇進だったことです。
先述のとおり、取締役と執行役員の間には、同じ役員でも厳然とした“壁”があります。それだけに、数多くの役員を抱える大手企業で、取締役を経験しないまま、トップに就くのは異例中の異例。従来の役職序列に則った順送りの人事では、世界と戦えるリーダーは育たない、という危機感が働いたといわれています。
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