ランチケーション
ランチケーションとは?
「ランチケーション」とは、ランチタイムを活用して行われるワーキングマザーの異業種交流会のことです。博報堂の企業内大学「HAKUHODO UNIV.」がワーキングマザーのネットワーク化を図る目的で立ち上げた、リーママプロジェクト(リーママとはサラリーマンママの略で働く母親の意)の取り組みの一つとして発案・提唱。サラリーマン社会でいう“飲みニケーション”をヒントに「ランチケーション」と名付けて、活動を推進しています。ランチケーションは、終業後の時間を活用できないワーキングマザーならではの新しい交流の広げ方、深め方として注目を集めています。
ワーキングマザーがランチ会で交流
企業には飲みニケーションより有益
社内外のコミュニケーションを促し、社員のモチベーションの強化やアイデアの収集に結びつける貴重な機会として、ランチタイムの有効活用に注目する企業が増えています。その取り組みの主役となっているのは、時間の制約が大きいワーキングマザーです。
男性中心の伝統的なサラリーマン社会では、社員同士が交流を深め、情報交換に勤しむ場はもっぱら夜の宴席でした。いわゆる“飲みニケーション”です。ところがワーキングマザーの場合、男性の家事・育児への参加が進まない現状では、仕事を終えてもなかなか自由が利きません。オフィス用品通販のカウネットが、全国の12歳以下の子どもを持つ30~40代の働く女性を対象に行った調査(有効回答数146人)では、全体の9割が「子どもができる前より時間が足りない」と回答しています。当然、退社後の飲みニケーションへの参加は難しいでしょう。もともと職場で少数派のワーキングマザーは、同僚と仕事や家庭についてじっくり語り合う機会にも恵まれないまま、孤立を深めていくことに――。こうした閉塞状況を何とか変えたいという思いから始まった取り組みの代表例が、博報堂が提唱・推進する「ランチケーション」です。
ランチケーションは、同社社員を含めた異業種のワーキングマザーが集まり、仕事から育児の悩みまで幅広いテーマについて語り合うランチ会。博報堂の人材育成を担う企業内大学が12年4月から始めた「リーママプロジェクト」の活動の一つで、働く母親同士をつなげて仕事や家庭の壁を共に乗り越えるのがねらいです。飲みニケーションをヒントに「ランチケーション」と名付け、昨年夏までに約30社、約300人のワーキングマザーたちとの交流を実現してきました。
子育て中の女性社員が集まって、社内でランチ会を開く動きは着実に広がっています。グループ7社から子育て中の女性社員が集まり、小グループに分かれて語り合うランチ会「ママズ・コミュニティ」を展開しているのはセブン&アイ・ホールディングス。12年7月から始まったこの取り組みでは、毎回事務局が設けたテーマについて意見を交わすとともに、セブン&アイ・ホールディングスで販売する総菜や弁当を食べて、感想や要望などをフィードバックしています。企業にとっても、働くママの意見を収集できる絶好の機会というわけです。またオリックスは09年から年4回のペースで、復職して1年未満のワーキングマザーを対象としたランチ会を開いています。人事担当者も参加して、効率的な働き方やキャリアプランなど、働く女性たちが抱える悩みの把握に努めた結果、同社社員のうちワーキングマザーが占める割合は03年3月末の6.6%から、13年3月末には29.7%にまで高まりました。
昨今は若い男性を中心に、妻と協力して家事や子育てに積極的に参加しようとする夫も増えています。そうしたイクメンにとってもランチタイムの有効活用は好都合でしょう。飲みニケーションからランチケーションへ――新しい交流のあり方が日本人の働き方そのものを改革する突破口になるかもしれません。
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