企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】ピグマリオンコウカ ピグマリオン効果

「ピグマリオン効果」とは、「人は他者に期待されるほど意欲が引き出されて、成績が向上する」という状況を示す教育心理学の法則のひとつ。キプロス島の王ピグマリオンが自分で彫った象牙の女性像を愛し続けた結果、彫像が本物の人間の女性になったというギリシア神話にちなんでピグマリオン効果と名づけられました。「教師期待効果」あるいは「ローゼンタール効果」ともいわれます。
(2012/11/12掲載)

ピグマリオン効果のケーススタディ

人は期待されたとおりの成果を出す
過大な期待は禁物、達成可能な範囲で

ピグマリオンの物語は、イギリスの劇作家バーナード・ショーの戯曲「ピグマリオン」として再現され、有名な映画「マイ・フェア・レディ」の下敷きにもなりました。教育によって下町の花売り娘からレディへと成長していく主人公イライザの台詞に、「レディと花売り娘の違いはどう振る舞うかではなく、どう扱われるかにあるのです」という言葉があり、ここにピグマリオン効果の本質がよく表れています。

ピグマリオン効果は、アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが1963~64年にかけて行った実験によって実証されました。

博士はある小学校で、特別な「学習能力予測テスト」と称してテストを実施しました。実際はごく一般的な知能テストなのに、担任の教師には「このテストの結果で今後成績が伸びる子供と、そうでない子供がわかる」と説明、テストを受けた生徒たちの中から結果とはまったく関係なく、ランダムに数名の子供を選んで、担任に「この生徒たちは成績が伸びる」と伝えたのです。担任は博士の仮説を信じ、その子供たちの成績が伸びることを期待しつつ指導を続けました。すると、本当にその子供たちの成績が向上したのです。

この実験から、期待と成果の相関関係について、「人は期待されたとおりの成果を出す傾向がある」という結論が導かれました。なぜ選ばれた子供たちの成績が伸びたのか――ローゼンタール博士はその要因として「担任が子供たちに対し、期待していると意思表示したこと」「子供たちも自分が期待されていると感じとったこと」を挙げています。

この実験結果を受けて、元ハーバード・ビジネススクール教授のJ・スターリング・リビングストンが提唱したのが「ピグマリオン・マネジメント」です。周囲の期待や働きかけが人間の行動に及ぼす影響力に着目し、企業の人材マネジメントにも活用できると考えました。ピグマリオン効果による動機づけについて、リビングストンが主張する基本的な考え方は次の通りです。

(1) マネジャーが部下に何を期待し、部下をどう扱うかによって、部下が挙げる業績と将来の昇進はほとんど決まってしまう
(2) 優れたマネジャーは、「業績を挙げ、目標を達成できる」という期待感を部下に抱かせる能力を持つ
(3) 無能なマネジャーは部下に(2)のような期待感を与えることができず、部下の生産性も上昇しない
(4) 部下は自分に期待されていることしか行おうとしない傾向が強い

実際、人材育成の現場でこうした効果を実感する例は少なくありません。上司から期待されている部下はそうでない部下に比べてよりよい結果を出し、成長も早いことは経験的に知られています。期待している部下に対しては、上司もコミュニケーションを密にとり、その際に直接ノウハウを授けたり、的確なアドバイスを与えたりするため、部下はこれに応えようとモチベーションが高まるのです。ただし、期待のかけ過ぎは逆効果。部下の状況や能力を見極め、達成可能な期待を設定して部下と共有することが大切です。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

1on1
「1on1」ミーティングとは、定期的に上司と部下が1対1で話し合うことを言います。米国シリコンバレーでも“1on1 meeting”は文化として根付いており、人材育成の手法として世界的に注目を集めています。その特長は、上司が部下の成長のために時間をつかう、ということ。日本ではヤフーが取り入れたことで...
ボスマネジメント
「ボスマネジメント」とは、ボスをマネジメントすること、つまり組織における一般的なマネジメントの概念とは逆に、部下が仕事の目的を達成するために上司を動かす、という考え方を表す言葉です。部下が上司に対し能動的かつ戦略的に働き掛けることで、自らが仕事を進めやすいように上司をうまくコントロールしたり、相手か...
ラインケア
「ラインケア」とは、企業などの職場のメンタルヘルス対策において、部長・課長などの管理監督者が直属の部下にあたる労働者へ、個別の指導・相談や職場環境改善を行う取り組みのことです。組織内で指示命令を出す相手=部下を持つ管理監督者は、部下の状況を日常的に把握し、具体的なストレス要因の評価やその改善を図るこ...

関連する記事

ミドルマネジャーは期待外れ?! ~ミドルマネジャーに期待する役割1位も、果たせていない役割1位も「部下の育成・マネジメント」
人事に企業の「今」を訊いた大規模調査「人事白書2015」から一部をご紹介します。ミドルマネジャーが最も果たせていない役割の最多は、「部下の育成・マネジメント」(44.5%)。ミドルマネジャーに期待する役割としても1位(79.2%)なことから、ミドルマネジャーが...
2015/05/29掲載人事白書 調査レポート
職場のモヤモヤ解決図鑑【第2回】 1on1で、ついつい上司ばかりが話してしまった
自分のことだけ集中したくても、そうはいかないのが社会人。昔思い描いていた理想の社会人像より、ずいぶんあくせくしてない? 働き方や人間関係に悩む皆さまに、問題解決のヒントをお送りします!
2020/02/18掲載編集部注目レポート
~管理職・マネージャーに必要なコミュニケーション~
近年、企業を取り巻くさまざまな環境変化により、組織内における上司と部下の関係性、何よりもコミュニケーションのあり方が大きく変わってきた。問題は、そのことに対して上司があまり“自覚的”でない点である。その結果、“想定外”のコミュニケーションギャップが発生し、マネ...
2007/08/29掲載注目の記事

関連するQ&A

給与に関すること
2年前に現場の部門長Aが、部下を昇進させるため上層部へ具申しましたが、 却下されました。(部下は昇進の話は知っていました) しかし、部門長Aは部下を思い基本給の方で2万円を加給しました。 このとき、部門長Aは、部下には内緒にするようにと言われたとのこと。(部下証言) 部下は、その2万円は能力給的な...
人事考課について
当社は現在人事考課を行っておりますが、今現在使用しているものが古く、新しく作り変えようと考えております。今は、上司が部下を評価するだけではなく、部下が上司を評価する考課システムもあるようですが、どういったものがあるのか教えていただければ幸いです。また、このような考課制度を実施するにあたってなにか注意...
「上司が部下の昇給率(額)を知っている」企業の多さと是非
正社員の部下を持つ課長が、部下の昇給率(額)を知っている企業の①多さについての資料や分析結果などがもしあれば、と②その事の是非についての見解について教えて頂けますと幸甚です。 今年転職し、2,000人規模の外資のHRに入社をしました。 これまで経験して来た2,000人規模から5,000人規模の日本...
新たに相談する
相談する(無料)

「人事のQ&A」で相談するには、『日本の人事部』会員への登録が必要です。

新規登録する(無料) 『日本の人事部』会員の方はこちら
業務に関するちょっとした疑問から重要な人事戦略まで、
お気軽にご相談ください。
各分野のプロフェッショナルが親切・丁寧にお答えします。

関連するキーワード

分類:[ 人材開発 ]

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

Withコロナ時代は社内研修をオンライン化! メンタル対応可能な産業医を紹介します 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。