企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

【ヨミ】バウンダリレス バウンダリレス

「バウンダリレス」(boundaryless)とは、直訳すると「境界(バウンダリ)のなさ」という意味で、企業の従業員が部門や役職、立場、事業所の所在地など、組織内外のあらゆる境界を超えて自社に貢献しようとする姿、あるいはそうした価値観を指す用語です。1990年代初めに、米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の当時の社長兼CEOジャック・ウェルチ氏が自社の目指すべきビジョン、組織や人材に求めるバリューを象徴する言葉として提唱しました。
(2012/9/10掲載)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

バウンダリレスのケーススタディ

組織の内にも外にも“壁”をつくらない
大企業病を恐れたウェルチ流改革の真髄

世界で30万人の社員を擁するGE。その巨大組織を力強くけん引したジャック・ウェルチが経営者として一番嫌い、警戒していたのは、組織の中にも、個人の中にもある種の“壁”をつくってしまう、大企業ゆえの官僚的な考え方だったといわれます。

ウェルチはGEの企業組織から、社員個々のエゴイズムや偏狭な階層主義、セクショナリズムなどを排除することに腐心しました。例えば経営陣と現場といったタテの関係にせよ、部署間や担当別のヨコの関係にせよ、組織に壁があると社内の風通しが悪くなり、有用な情報やアイデアが活かされなくなったり、判断を間違えたりしてしまう。壁は社員に、いつでも顧客満足のために最善を尽くすという企業本来の行動基準を見失わせてしまう。ウェルチはそう見なして、ともに働く者同士があらゆる境界を超えて協力しあう姿――「バウンダリレス」な組織のあり方を追求していったのです。

GEもかつては一般的な大企業のようにピラミッド構造を持つ巨大な縦割り組織で、それぞれの部門の現場からトップまでの間は20以上の管理階層によって隔てられていました。価値ある情報やアイデアは、ビジネスの現場により近いところからもたらされるのが普通です。しかしそれらが、課長から部長へ、部長から執行役員へと組織の境界を通っていくたびに鮮度や斬新さを失い、潰れてしまうことに危機感を覚え、ウェルチは改革に踏み切りました。20段階もあった階層組織を5~6にまで極端にフラット化し、なおかつ現場に権限を与えて組織の活性化を図ったのです。

ウェルチが壊したのは上下の壁だけではありません。階層を減らしても、組織にはヨコ方向の壁が残されます。そこで彼は、社員が部門を横断して問題解決に協力しあったり、担当や専門分野にとらわれず情報交換を密にしてアイデアを共有したりするしくみも整備しました。

この考え方をさらに組織の内から外へと広げてみると、どうでしょう。自社の考え方やビジネスウェイ、固有の組織文化といったいわゆる「自分たちらしさ」に執着する姿勢が自社と他の会社との間にも境界を作り、いつの間にか壁ができていることに気づかされるかもしれません。会社や業種の枠を超え、自社の外部にまで徹底して学びや交流を求める姿勢こそバウンダリレスの真骨頂であると言えます。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

あわせて読みたい

組織社会化
組織研究において、新しく組織に加わったメンバーが、組織の目標を達成するために求められる役割や知識、規範、価値観などを獲得して、組織に適応していくプロセスのことを「組織社会化」といいます。個人が組織に参入するときは、必ずこの組織社会化の過程を通過しなければならないと考えられています。 (2012/5...
トランザクティブ・メモリー
「トランザクティブ・メモリー」(Transactive memory)とは、1980年代半ばに米ハーバード大学の社会心理学者、ダニエル・ウェグナ―が唱えた組織学習に関する概念で、日本語では「交換記憶」あるいは「対人交流的記憶」「越境する記憶」などと訳されます。組織学習の一つの側面である組織の記憶力(...
組織再社会化
組織研究において、組織に新しく参入した個人がその成員となるために、組織の価値観や規範を受け入れ、職務遂行に必要な技能を獲得し、組織の人間関係に適応していく過程を組織社会化といいます。これに対し「組織再社会化」とは、すでにある組織の一員として組織社会化され仕事を行ってきた人が、転職などの組織間移動に...

関連する記事

中村和彦さん: 組織に関する問題を「人」「関係性」に働きかけることで解決 いま日本企業に必要な“組織開発”の理論と手法とは(後編)
組織開発をどのように進めていけばいいのか、また、その際に人事部はどう関わっていけばいいのかなどについて、組織開発の実践に取り組んでいる研究者の南山大学教授の中村和彦さんに具体的な話をうかがっていきます。
2015/09/11掲載キーパーソンが語る“人と組織”
人事マネジメント「解体新書」第38回 学習する組織“ラーニング・オーガニゼーション”を実現する方法(前編) ~自ら学ぶ風土を作り、持続的成長を実現していくために
企業を取り巻く経営環境の急激な変化は、ビジネスサイクルを短縮化し、知識・技術の更新スピードを速めるなど、組織に対して絶え間ない「変革」を求めている。この変革を実現するには、組織として継続的に学習を続け、改善を繰り返していくことが必要だ。これが近年、「学習する組...
2010/06/28掲載人事マネジメント解体新書
中村和彦さん: 組織に関する問題を「人」「関係性」に働きかけることで解決 いま日本企業に必要な“組織開発”の理論と手法とは(前編)
なぜ組織開発が近年注目されているのか?日本企業がどのように組織開発を進めていけばよいのか?組織開発の実践に取り組んでいる研究者の南山大学教授の中村和彦さんに、詳しいお話を伺いました。
2015/09/04掲載キーパーソンが語る“人と組織”

関連するキーワード

ウェルビーイング経営を実現するソリューション特集

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

高尾の森わくわくビレッジ タレントパレット

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ


ウェルビーイング経営を実現するソリューション特集

本特集では、『日本の人事部』が注目する、ウェルビーイング経営実現ための多彩なプログラムをご紹介。体験セミナーへの参加申込み、資料のダウンロードも可能ですので、 ぜひご利用ください。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。