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【ヨミ】レシプロシティ レシプロシティ

「レシプロシティ」(reciprocity)とは、「互恵性、返報性」の意味。人間関係において「相手に何かを渡したらお返しがあると期待し、逆に相手から何かを受け取ったらお返しをしなければならない」と感じる共通認識のことです。レシプロシティはあらゆる文化を越えた社会通念のひとつであり、近年、組織行動学やリーダーシップ論では人材や組織を動かす影響力の根本原理として注目されています。
(2011/6/27掲載)
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レシプロシティのケーススタディ

権限に頼らなくても人は動かせる
「お返ししたい」が影響力の源泉

レシプロシティのコンセプトは、リーダーシップ開発の第一人者である米バブソン大学のアラン・R・コーエン、スタンフォード大学のデビッド・L・ブラッドフォード両博士が1989年に発表した共著『影響力の法則――現代組織を生き抜くバイブル』(原題は『Influence Without Authority』)によって提唱されました。“権限に頼らなくとも影響力を発揮できる”――同書の原題が端的に表現しているこの新しい考え方は、世界のビジネスパーソンに多大な気づきをもたらし続けています。

1990年代以降、多くの日本企業でも組織のフラット化が進行し、人々はビジネスの現場で、職位の高低よりも能力の高低に従って仕事を動かすようになりました。フラットな組織とは、自分の目標を自分で管理・達成できる、専門分化したプロフェッショナルの集まりです。権威、権力だけでは決して人は動きません。しかし、顧客の高い要求水準にいちはやく応えるためには、権限の及ばないメンバーを部門横断的にまとめたり、ときには上司や経営層にまで積極的に働きかけたりして、プロジェクトを達成に導かなければならないのです。テクノロジーの急速な進化に伴って、上司が部下の能力に依存する度合いも強まっています。これからの企業人には、権限に頼らずに人を動かす力=影響力が欠かせません。その影響力のベースとなるのが互恵性、すなわちレシプロシティの考え方であると両博士は指摘しています。

レシプロシティは意識しなくても、ビジネスや人間関係のいたるところに働いています。たとえば「営業担当者は、開発担当者が新製品の情報をいちはやく教えてくれたおかげで見込み客を獲得できた。お返しに顧客の細かいニーズを伝えたところ、開発担当者は製品の改良に成功した」というようなことは日常茶飯でしょう。自分の役に立つことをしてもらうと、相手の役に立つこともしたくなる。これはレシプロシティのなせる技なのです。この法則に則れば、いざというときに多くの人の協力を得られる人は日頃から周囲に何かをもたらし、「この人にお返ししたい」と思われている人だといえます。逆にふだん相手に何もしてあげない人や何かをしてもらってもお返ししない人は、本人にどれほど実力や実績があっても協力は得にくいでしょう。

もちろん人は何を受け取っても、「お返ししたい」と思うわけではありません。相手にとって価値がなければ、与えても報われない。つまりレシプロシティは働かないのです。あたりまえのことのようですが、この人間関係の根本原理に逆らうと、人を動かすどころか、自分が職場から孤立してしまいかねません。多様化・複雑化する組織において求められる影響力とは何か、真のリーダーシップとは何か――。特別な才能やカリスマ性などではなく、レシプロシティの法則を理解し意識することによって、誰にでも開かれる可能性だといえるでしょう。

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