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【ヨミ】ティー エイチ ピー THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)

THPとは、トータル・ヘルスプロモーション・プラン(total health promotion plan)の略称で、厚生労働省(以下、厚労省)が策定した「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」にそって実施される、すべての働く人を対象とした、総合的な「心とからだの健康づくり運動」のことです。THPは1988年の労働安全衛生法の改正により、企業の努力義務として導入されました。
(2011/3/28掲載)

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THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)のケーススタディ

健康づくりは二次予防から一次予防へ
計画的かつ継続的な健康指導を推進

近年、定期健康診断の有所見率(異常な所見が認められた人の割合)の推移は増加傾向にあり、2008年には51.3%と初めて5割を超えました。働く人の健康は大きな社会資源であり、企業にとっては重要な経営資源でもあります。その悪化は生産性の低下や医療費の増大を招き、経営を圧迫する要因になりかねません。こうしたリスクに対応するには、早期発見・早期治療といった従来の二次予防的な健康管理だけではもはや不十分。事業者が働く人の健康づくりを、積極的かつ組織的に支援することによって、従業員一人ひとりが高いレベルの健康状態を実現、維持し、健康障害を未然に防止する――つまり一次予防としての健康づくりに取り組むことがもっとも有効な手段となります。企業においてTHPの推進が求められるゆえんです。

上記の厚労省指針では、THPを実施するにあたり、健康測定の結果をふまえて、産業医(健康測定医)が従業員一人ひとりの健康状態に応じた指導票を作成。これに基づいて、一定の研修を受けた専門知識と技能を有するTHPスタッフ(産業医、運動指導担当者、運動実践担当者、心理相談担当者、産業栄養指導担当者、産業保健指導担当者の6者)が、集団指導や個々の労働者に対する健康指導を行うという流れになっています。集団あるいは個別で行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、保健指導の4種類があり、これらは担当スタッフ間の緊密な連携によって推進されなければなりません。

THPは、中長期的な企業施策として、計画的かつ継続的に取り組む必要があります。そのため厚労省指針では、まず事業者が労働者の健康増進を図るための基本的な計画――「健康保持増進計画」を策定し、その実施推進体制を確立することを求めています。「健康保持増進計画」に定めるべき内容は、以下の7項目です。

(1) 事業者が健康保持増進措置を積極的に推進する旨の表明に関すること
(2) 「健康保持増進計画」の目標の設定に関すること
(3) 事業場内の健康保持増進体制の整備に関すること
(4) 労働者に対する健康測定、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、保健指導等健康保持増進措置の
   実施に関すること
(5) 健康保持増進を講ずるために必要な人材の確保並びに施設及び設備の整備に関すること
(6) 健康保持増進計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
(7) その他労働者の健康の保持増進に必要な措置に関すること

THPを計画的・継続的に推進するための体制の確立にあたっては、衛生管理者、衛生推進者などから健康保持増進計画の総括的推進担当者を選任し、さらに実際の指導にあたるTHPスタッフを確保・養成した上で、事業場内に産業医をリーダーとし、推進担当者やTHPスタッフを構成員とする「健康保持増進専門委員会」を設置するのが望ましい姿とされています。自前でTHPスタッフが確保できない場合は、外部機関に委託することも可能ですから、それぞれの職場の状況に則して、対応できる部分から制度や体制の整備に努めるべきでしょう。

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