イクメン
イクメンとは?
「育児をするメンズ(男性)」の略語。単に育児中の男性というだけでなく、進んで育児休暇を取得するなど子育てを積極的に行う男性や、育児を楽しみ自らも成長しようとする男性、または将来的にそうありたいと考えている男性のことを、「イケメン」をもじって「イクメン」と称します。
“できる社員”ほど子育てに挑戦したがる傾向に
積極支援で人材確保や生産性向上にメリット
2010年5月、当時の長妻昭厚生労働大臣が国会で「イクメンという言葉を流行らせたい」と発言しました。翌月には前年に改正された育児・介護休業法の施行に合わせて、働く男性の子育て参加や育児休暇取得を後押しする、厚労相肝いりの「イクメンプロジェクト」もスタート。これを機に「イクメン」の名称は一気に浸透しました。最近では、全国の知事として初めて育休取得を宣言した湯崎英彦広島県知事と、首長のイクメン化に異論を唱える橋下徹大阪府知事や高橋はるみ北海道知事らとの間で、「イクメン論争」が巻き起こったのも記憶に新しいところです。
平成の家族のライフスタイルを研究する「イマドキ家族研究所」が、今年9月に子供を持つ全国の20代〜60代の男女約1万人に対して行った家族の実態調査によると、男性の育児参加についておよそ3割が「積極的に参加している」と答え、「人並みに参加」を合わせると3人に2人は「イクメン」であることが明らかになりました。それでも、日本の男性の育児休業取得率は1.72%(09年度)に過ぎません。諸外国と比べるときわめて低い水準にとどまっており、政府はこれを17年度に10%、20年度には13%にまで引き上げることを目標としています。各地でも政府のキャンペーンと連動する形で、自治体やNPOがイクメン・スクールなどを展開。社会がイクメンをサポートする体制も徐々に整ってきました。
イクメンの実態に詳しい東レ経営研究所の渥美由喜研究部長によると、「ひと昔前まで男性の育休取得者というとマイペース型か、奥さんの尻に敷かれているタイプが多かったが、最近は仕事熱心で評価も高い“エース社員”で、子育てにも挑戦してみたいという人が増えている」とのことです。若手・中堅社員のイクメン志向は案外、本人の自己成長欲求に根差すものなのかもしれません。だとすれば、企業がそれを尊重しないのは長期的に見て得策といえないでしょう。
もちろん「長時間労働は美徳、子育てしながらいい仕事などできるわけがない」という固定観念を持つ先行世代の反発、混乱は必至です。実際、渥美氏が耳にした例では、ある会社のエース社員がイクメンを宣言した途端、かわいがってくれていた上司から「裏切り者」扱いされ、干されたといいます。イクメンを抑圧する、こうした組織内の壁をどう乗り越えるべきか――。「企業経営者は、イクメンを重視することが優秀な人材の確保や生産性の向上、さらには生活者目線のイノベーションの創出にもつながり、確実に業績を伸ばすことに気づくべきだ」と、渥美氏は指摘します。
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