ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは?
「ヒューマンスキル」(human skill)とは、他者との良好な人間関係を構築・維持するために必要な能力や技術のこと。対人関係能力とも言われ、業種・職種に関係なく、ビジネスパーソンなら誰でも職務を遂行する上で求められる普遍的なスキルです。具体的には、相手の話をきちんと聞いて理解するヒアリング、話し合いのなかで自分の意見を主張するネゴシエーション、自分の考えを的確に、論理的に伝えるプレゼンテーション、さらにはリーダーシップやビジネスマナーなどが挙げられます。
ミドルマネジメントに必須の「上司力」
専門職も専門技能だけでは評価されない
ハーバード大学のロバート・カッツ教授は企業のマネジャーに求められる能力として、「テクニカルスキル」「コンセプチュアルスキル」そして「ヒューマンスキル」の三つを挙げています。テクニカルスキルとは、業務遂行能力あるいは業務知識と呼ばれるもので、たとえば経理担当者にとっての会計財務の専門知識、ITエンジニアならプログラミング言語が使えることなどが、これに当たります。ヒューマンスキルと異なり、求められる技能は業種や職種に自ずと特化されるのが普通です。コンセプチュアルスキルは概念化能力とも呼ばれ、物事を概念化・抽象化して考えることで複雑な問題の本質を理解し、的確な意思決定を下す能力です。
カッツ理論では、マネジャーの階層が監督者層→管理者層→経営者層と上がるにつれて、テクニカルスキルの重要度は相対的に低下し、コンセプチュアルスキルがより求められるようになると指摘しています。また、組織の屋台骨を支えるミドルマネジメントには、チームを束ねて現場を切り回すために、対人関係能力であるヒューマンスキルが欠かせません。この能力を高めることによって、自らのテクニカルスキルを部下に効率よく伝達したり、逆にトップマネジメントからコンセプチュアルスキルを吸収したりすることも容易になるからです。
社内だけでなく顧客接点においても成否のカギを握るだけに、採用や昇進・昇格の条件として重視されています。実際、企業の人事担当者に求める人材像を尋ねると、決まって「ヒューマンスキルの高い人」との答えが返ってきます。とくに近年はITエンジニアなど、従来ならテクニカル重視で“一芸に秀でる”イメージが強かった技術系の専門職にも、ヒューマンスキルを求める傾向が高まっています。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)で長く人事担当執行役員を務めたCTCビジネスサービス代表の富田博氏は「いまやITエンジニアにはハードウェアやソフトウェアの販売だけでなく、これらを組み合わせたサービスやソリューションを提供し、お客さまの経営をサポートする役割が期待されている。エンジニアであっても、経営層にも理解できる言葉で、システムの提案を行えるヒューマンスキルが必要な時代になってきた」と指摘します。
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