【ヨミ】ジョブシェアリング ジョブ・シェアリング
(2010/8/23掲載)
いわゆるワークシェアリングには、不況などで企業の業績が悪化した際に、従業員1人当たりの労働時間を減らすことによって企業全体の雇用を守る「雇用維持型」と、短時間勤務を組み合わせることによって雇用機会を増やし、多様な人材を確保する「雇用創出型」の二種類があります。ワークシェアリングの一種であるジョブ・シェアリングは、おもに後者の目的で導入される制度です。
同制度を実施する場合、たいてい2人1組のペアで一つの仕事やポストをシェアしますが、単純に業務を切り分けるわけではありません。2人の間で綿密に情報を交換し、フルタイム社員1人で担当するのと同等か、それ以上の生産性をもって仕事を遂行するのがジョブ・シェアリングのねらい。そのため、仕事の成果についても共同で責任を負います。管理者からすれば、1人分の人件費で2人分の経験知やアイデアを活用することができる上、2人を1人としてセットで管理することにより、短時間勤務が増えても、管理コストは増えずに済むというメリットもあります。
具体的な実施パターンとしては、曜日によって勤務を交替するという方法があります。たとえばAさんが月曜、火曜、水曜を、Bさんが水曜、木曜、金曜を担当するような勤務形態です。この場合、水曜日はAさん、Bさんとも出勤し、2人の間で情報を交換・共有する日に充てます。その他にも、1日の勤務時間が7時間であれば、それぞれが3時間ずつ担当し、残りの1時間は2人で同時に勤務するなど、時間で分け合う方法もあります
現在、日本におけるジョブ・シェアリングの導入は、ごく一部の外資系企業や病院などを除いてほとんど進んでいません。しかし欧米ではすでに多様な働き方の一つとして広く認知されています。特に仕事か、家庭かの二者択一を迫られることの多いワーキングマザーにとって、ジョブ・シェアリングはまさしく「第三の道」。実際に、米フリート・バンク(現バンク・オブ・アメリカ)では、2人の女性管理職が、過去6年間にわたってバイスプレジデントの重職をシェアし、その正当性を証明しました。
日本的な就労観からすると、個人の都合による変則的な勤務形態は組織としての効率や生産性の低下を招くのではないかというリスクにどうしても目が行きがちですが、それを認めないと、優秀な人材を失うことにもなりかねません。アメリカやカナダの大手企業20社を対象にしたある調査によると、ジョブ・シェアリングなどの柔軟な時短勤務を認めることは、社員の定着率を高めるだけでなく、生産性の向上や能力開発の促進などにつながることも明らかになっています。
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