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【ヨミ】インクルージョン インクルージョン

組織内の誰にでもビジネスの成功に参画・貢献する機会があり、それぞれに特有の経験やスキル、考え方が認められ、活用されていることを「インクルージョン」(inclusion)と言います。「ダイバーシティ」が組織内に多様な人材がいる状態を表すのに対して、包括、包含、一体性などの語意をもつインクルージョンは、そうした多様な人々が対等に関わりあいながら一体化している状態を指す用語として区別されます。ダイバーシティをより発展させた新しい人材開発のあり方として注目されています。
(2009/12/25掲載)

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インクルージョンのケーススタディ

ダイバーシティからインクルージョンへ
「認められている」実感が人材の定着を促す

文化的背景や個人的特質の異なる人材を幅広く採用し、組織のパフォーマンスを高めるダイバーシティへの取り組みは、1960年代から米国系企業を中心に進められてきました。異なる人種や宗教が混在する米国では、それが政府の方針であり、企業にとっても多様な人材を受け入れ、活用することがビジネスに直結しやすいためです。各企業は女性やマイノリティの目標採用率を掲げて、そうした人材を受容するための雇用枠やポストを積極的に確保。個々の事情に沿った柔軟な働き方を支援する制度の充実にも力を入れてきました。

ところが、それだけでは定着率が上がらず、いくら多様な人材を採用しても結局流出してしまうという問題が生じています。とりわけ数値目標を設定している企業では、採用された人材が他の従業員から「数値目標を達成するためだけに採用された」と受け止められがちです。ひそかに排斥され、仲間として尊重されない、活躍の機会を与えられないといったケースが後を絶ちません。そこで近年、米国の企業社会では「真のダイバーシティを実現するために必要なのは、多様な人材の採用ではなく、彼らを定着させる企業文化の醸成、すなわち“インクルージョン”である」という認識が強まっています。

日本でも、ダイバーシティマネジメントの一環として女性活躍推進の数値目標を掲げる企業が少なくありませんが、成果はなかなか出ないようです。トップ自らが女性採用の旗を振り、育児支援制度などの施策や環境整備を進めても、能力のある女性が去っていく――「日本人」「男性」「新卒」「年功」といった人材の同質性を重視することで組織の一体感や帰属意識を高めてきた日本的経営の伝統がいま、皮肉なことにインクルージョンの障壁となっているのは間違いないでしょう。

日本女性の活躍を支援するNPO法人GEWELが2008年に行った『ビジネスパーソンの働く意識調査』によると、ダイバーシティの実施推進に積極的な人ほど「職場で上司や仲間から認められている」実感が強いことがわかりました。人は、自分自身が認められてはじめて、他人を認められるようになるのかもしれません。仕事の成果を公正に評価するのはもちろんのこと、普段のコミュニケーション――職場での挨拶やちょっとした声のかけ方によってお互いの存在を認めあう雰囲気を醸成することが、ダイバーシティ&インクルージョンを実現し、企業内に優秀な人材を定着させるカギとなりそうです。

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