ヘッドハンティング
ヘッドハンティングとは?
ある企業の優秀な人材を他の企業がスカウト(引き抜く)すること。外資系企業では以前から人事戦略の一環として頻繁に行われていましたが、近年は企業の依頼に応じてヘッドハンティングを専門に手がける人材ビジネスが注目されるなど、広く企業社会全体に浸透しつつあります。
景気後退に伴う人材流動化が追い風に
ミドルクラスにまでターゲット拡大
別名「エグゼクティブ・サーチ」と呼ばれるように、ヘッドハンティングには、経営幹部やエグゼクティブクラスなど一部の限られた人材を対象とするイメージがありましたが、近年はミドル層やマネジャークラスの人材、年代でいうと30代にまでスカウトのターゲットが広がっているといわれます。この層はいわゆる就職氷河期世代。バブル崩壊後の不況を理由に多くの企業で彼らへの教育投資が削減されたため、量だけでなく、質的にも人材不足感が否めません。
しかしいまから自社内で再教育を施したり、彼らより若い世代の成長を待ったりしていたのでは時間がかかりすぎて、激化する一方の業界サバイバルに遅れをとってしまう――。現場のリーダーを担う即戦力人材のヘッドハンティングが増加している背景には、そうした企業の危機感があると考えられます。
国内最大手のヘッドハンティング会社サーチファーム・ジャパンによると、急激な景気後退に伴う大型の経営破たん、業界再編が相つぐなか、人材の流動化はいっそう加速し、これを好機ととらえる企業サイドの相談・依頼が増えているといいます。具体的な傾向としては、金融・不動産・建設業界からの依頼が急増。2008年8月期の問い合わせ件数は同1月期の3倍以上にはね上がりました。最近は個人をターゲットにするヘッドハンティングに加えて、事業部門単位のスカウト、つまり求める人材を部門まるごと獲得したいという相談も多いそうです。また同社の成約実績(07年度)を職位別・年齢別でみると、社長・取締役クラスが全体の20.3%、事業部長・本部長・工場長クラスが29.7%なのに対し、部長・課長クラスは24.5%、マネージャー・主任クラスも13.8%を占めています。30代でのヘッドハンティングも全体の41.7%に達しています。
同社常務取締役の井坂優氏は、「転職に積極的で人材紹介の市場に自ら進んで出てくる人は、全労働者人口の10%程度に過ぎません。ただし企業サイドの要求に応えられる人材、本当の意味で貢献できる人材がその10%のなかにいるとは限らない」と指摘します。
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