高学歴ワーキングプア
高学歴ワーキングプアとは?
修士号や博士号を所持してはいるものの、定職に就けず、アルバイトなどで日々の生計を立てている人たちや、弁護士、医師などの国家資格を取得していても開業後に仕事がなく貧しい生活を余儀なくされている人たちのこと。
大学院に進むも、働き口が限定的で就業先が見つからず
企業では高学歴ゆえに扱いにくいと言う声も
「ワーキングプア」とは正社員として、もしくは正社員並みにフルタイムで働いているにもかかわらず、収入が生活保護の支給額にも満たない就業者のことをいいます。
これまで、「ワーキングプア」は賃金水準が低く、雇用が不安定なフリーターなどの非正規雇用者を指していました。しかし、最近では高学歴の層の人たちにも「ワーキングプア」が広がっているようです。現在、博士号を所持していながら定職に就けない人は1万人を超えると言われています。
高学歴ワーキングプア増加の背景には、さまざまな要因があります。一つは、「就職活動がうまくいかないから」「就職したくないから」といった理由で、明確な目的もなく大学院に進学するといったケースです。この背景には、少子化による大学市場の成長後退に歯止めをかけるため、大学院進学の門戸を広げる大学側の思惑があります。一方で、少子化により教員ポストや研究者が増やせないという実情が、高学歴ワーキングプアの増加に繋がっています。
また、企業側からは、大学院での経験を「キャリア」として受け入れないだけでなく、高学歴だとプライドが高くて扱いにくいのではないか…という声もあるようです。
弁護士や歯科医師などの国家資格取得者にも、厳しい現実が立ちはだかっています。近年、合格者は増加していますが、弁護士事務所や勤務医の採用枠には限りがあり、就職先がなかなか見つからない、独立開業しても仕事が入らずにワーキングプア状態に陥ってしまう、などというケースが少なくありません。
人材不足といわれている今、こうした層の人材活用をどのように進めていくか、国や社会全体で考えていかなければならないでしょう。
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