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【ヨミ】セカンドキャリア セカンドキャリア

「第二の人生における職業」といわれるセカンドキャリア。中高年の早期リタイアや定年後のキャリア、出産・育児後の女性の社会復帰、プロスポーツ選手の引退後のキャリアを示す意味合いで使われます。近年では就労を支援する取り組みも行われ、キャリア形成における新たな形態として注目されています。ここでは、セカンドキャリアを取り巻く背景や現状について紹介します。また、セカンドキャリア人材の受け入れにおいて、企業が考えるべきポイントを整理していきます。
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1. セカンドキャリアとは

セカンドキャリアとは、「第二の人生における職業」のことをいいます。セカンドキャリアのケースは、以下の三つに分類されます。

  • 中高年の早期リタイアと定年退職後のキャリア
  • 女性の結婚・出産・子育て後の復帰
  • プロスポーツ選手の引退後のキャリア

終身雇用制はもはや、日本社会で一般的ではなくなりました。人生100年時代といわれる現代、定年や結婚が人生のゴールではないという認識も広がり、誰もがセカンドキャリアに向き合う時代が到来しているといえます。

しかし現実には、個人の努力だけでセカンドキャリアを切りひらくことは難しく、キャリア支援の整備が課題となっています。社会や企業がどのように支援できるのか、取り組みへの模索が始まっています。

2. セカンドキャリアを取り巻く現状

40代・50代以降のセカンドキャリア

中高年のセカンドキャリアは、「40代・50代のミドル世代」と「60歳以上のシニア世代」に分けられます。取り巻く現状を見てみましょう。

■1000人以上の大企業ではミドル世代のだぶつきが課題に

2019年時点のミドル世代とは、いわゆるバブル・団塊ジュニアの世代です。具体的には1965~1974年の間に生まれた世代を指します。大企業の人員構成ではミドル世代が占める割合が高くなっており、その結果、多くの企業が人件費の増加に悩まされています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの2014年時点の試算によれば、大企業に占めるミドル世代の人件費は2017年にピークを迎え、2022年頃まで大きな負担となる見込みです。こうした実態から、早期退職勧告や役職定年という形で膨らむ人件費に対応する企業も見られます。

また、リクルートワークス研究所の「中途採用実態調査」2018年度のデータでは、年齢が上がるごとに採用実施割合が低くなることが明らかになっています。40代では48.8%ですが、50代になると22.9%まで下がります。前年と比較すると40代・50代を採用する企業の割合は増加しているものの、転職のハードルはけっして低くない状況が続いています。

2018年度上半期 中途採用における採用年齢層

ミドル世代が今後を生き抜くには、早い段階でスキルの棚卸をして、セカンドキャリアに備えることが必要といえそうです。

■求められるシニア層の雇用確保

少子高齢化と人口減少による人手不足は、現代の日本が抱える大きな課題です。過去には60歳定年が一般的でしたが、年金受給年齢が65歳へと段階的に引き上げられ、定年後も働く必要性に迫られている人が増加しています。

2012年に改正された高年齢者雇用安定法では、定年年齢を65歳未満としている事業主は、以下のいずれかの措置を実施しなければならないとしています。

  1. 定年年齢を65歳まで引き上げ
  2. 希望者全員を対象に、65歳までの継続雇用制度を導入
  3. 定年制の廃止

2018年の高年齢者の雇用状況によれば、65歳までの雇用確保措置のある企業は99.8%。66歳以上が働ける制度を設けている企業は27.6%となっています。定年を迎えるシニア世代が働ける環境の整備が急務となっていることが分かります。

女性の出産・育児後のセカンドキャリア

結婚や出産を機にキャリアを中断していた女性も、セカンドキャリアへの必要性が高まっています。背景には、世帯収入の伸び悩みや教育費の負担増など経済的な理由が挙げられます。共働き世帯が増え、女性のセカンドキャリアへの意識は高いものと見ることができます。

一方、労働力人口の確保という視点からも、出産を終えた女性の社会復帰が期待される実状があります。総務省統計局の「平成29年就業構造基本調査」を見ると、育児をしながら働く女性の割合は、2017年で64.2%と過去5年で約12%増加しています。しかし、過去5年間で「育児・出産のために前職を離職した女性」は100万人近く存在し、7割近くの女性が就業していないと回答しています。

20代後半から40代にかけ、出産や育児にあたる女性が離職せずに働き続けられる環境の整備が求められているといえるでしょう。

年齢階級別育児をしている女性の有業率-平成24年,29年

就業状態別出産・育児のために過去5年間に前職を離職した者及び割合-平成19年,24年,29年

スポーツ選手のセカンドキャリア

近年、注目を集めているのがスポーツ選手のセカンドキャリア問題です。オリンピックやプロスポーツの世界で活躍する選手にも、必ず引退の時期がきます。その多くは20~40代です。引退後に安定的な生活基盤を築けるかどうか。アスリートのセカンドキャリアは社会的にも重要な問題です。

過去には、企業がプロスポーツ選手の受け皿となるのが一般的でした。ただし、一橋大学准教授の中村英仁氏の論文(2015年の調査)によれば、「競技を引退後そのまま会社に残っている選手が8割以上」である企業は、女性チームでは20.0%であり,男性チームでは78.0%でした

JOC日本オリンピック委員会は、2010年からトップアスリートと企業を結び付ける就職支援事業「アスナビ」を展開し、スポーツ選手のキャリアを支援しています。企業の関心の高まりを受け、雇用実績も着実に伸びています。

競技に集中して取り組める環境を望むアスリートと、社内の活性化を図りたい企業のマッチングを実現できる仕組みとして今後の発展が期待されています。

3. 政府主導のセカンドキャリア支援

近年は働き方改革や高年齢者雇用推進法の改正、女性活躍推進法の制定など、誰もが何歳になっても働き続けられる社会への支援が推進されています。

セカンドキャリア支援を進める企業に向けた取り組みを、助成金と支援施策に分けてご紹介します。

■セカンドキャリア支援に関連する助成金

対象 名称 内容 助成額の上限
中高年(40歳以上) 中途採用等支援助成金(雇用創出措置助成分) 中高年齢者が企業し、40歳または60歳以上の従業員を雇用することで雇用にかかる費用の一部を助成 150~200万円
シニア世代 65歳超雇用推進助成金 定年廃止・引き上げ・66歳以上の継続雇用制度のいずれかを整備した事業主に支払われる助成金 最大160万円。被保険者数・年齢によって変動
女性 両立支援等助成金 女性活躍推進法に基づき、現状把握・行動計画設定・数値目標を達成した企業に支払われる助成金 最大60万円

■セカンドキャリア支援を促進する施策

対象 名称 内容
シニア世代 高年齢退職予定者キャリア人材バンク 公益財団法人産業雇用安定センターにおいて、60歳以上で66歳以降も働きたい人材と企業をマッチングさせるサービス。シニアを雇用している事業主経由で個人情報を登録できる
女性 男女雇用機会均等法改正に基づく、女性管理職の中途採用 各役職で女性管理職の割合が4割を切る場合、女性のみを対象とした求人を出すなど、女性を有利に採用することが可能
女性 女性活躍推進法(えるぼし認定) 自社の女性の活躍状況の把握、課題分析、行動計画の策定と目標達成をした優良企業に厚生労働省から認定が送られる。えるぼし認定を受けた企業は、公共調達で加点されるなど優遇される

4. セカンドキャリアの採用メリット

セカンドキャリアの採用には、熟練スキルの活用、人手不足の解消、既存従業員の意欲上昇といったメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

長年培ってきた経験や技術を活用できる

40代・50代のミドル層およびシニアの採用は、長年培ってきた経験や技術を自社に取り入れられるメリットがあります。とくに中小企業の多くは20~30代の層が厚く、中高年層の熟練スキルや指導力が必要なケースがあります。

経済産業省の調査によると、一度でも中高年を採用したことのある企業の66%は引き続き中高年の採用に意欲を示しており、メリットを実感していることがうかがえます。

潜在的労働者を雇用することで人手不足を解消

出産や子育てで離職した女性のなかには、資格やスキルを持ちながら活躍できていないケースがあります。保育士を例にとると、厚生労働省の調べでは有資格者で勤務にあたっていない潜在保育士の数は全国で70万人以上と見られています。

就労意欲やスキルを持っていても家庭の事情などから働けずにいる層を雇用することで、人手不足の解消につながります。採用にあたっては勤務体制を見直すなどの工夫が求められます。

社員の一体感や士気が向上

アスリートの採用は、試合の応援を通して社内の一体感が高まる、また、競技の姿勢を目にすることで社員の士気が向上するといったメリットがあります。

引退後のセカンドキャリア採用ではこうしたメリットは得られませんが、企業全体に活気をもたらす存在となり得ます。例えば、採用の会社説明会に登壇してもらったり、社会貢献事業に関わってもらったりするなど、スポーツ選手時代の影響力を生かせるポジションを与えることがポイントです。

5. セカンドキャリアの受け入れで企業に求められるもの

ミドル・シニア世代の採用は専門性・経験以外の要素も評価対象に

中高年の採用では、一般に専門性や経験値が評価されるケースが多くなっています。しかし、実際に40代以降の中高年を採用した企業では、採用時に重点的に見ておくべきこととして以下の三つを挙げています。

  • 専門性以外の職務遂行能力
  • ポテンシャル
  • マネジメント経験

ミドル層の採用では即戦力を求めるだけでなく、自社への適応性やポテンシャルの見極めも必要と感じている企業が多くなっています。

人材サービス産業協議会が開発した「Middle Match Frame」では、専門知識・専門技術以外に、仕事のし方・人との関わり方などを評価ポイントに挙げています。ミドル世代に求める要素を可視化することで、採用のミスマッチを減らすことができます。

女性のセカンドキャリアには誰もが働きやすい環境が必要

女性が出産・育児で離職しない職場とは、誰にとっても働きやすい環境ということができます。

事例を紹介しましょう。福岡県で製造業を営む株式会社ふくやでは、6通りの勤務体系から自由に選択できる制度を設け、女性の離職率を改善しました。さらに、育休取得促進と復帰前のヒアリングを充実させることで、出産後の社員の定着率も向上しています。

このように、女性のセカンドキャリアの鍵となるのは、柔軟な働き方を実現する勤務体制の構築にあります。

アスリートの採用は現役から引退後までスポーツキャリアと捉える

アスリートのセカンドキャリア支援は、引退後だけでなく、現役時代からのキャリア形成が重要です。現役時代をデュアルキャリア、引退後をセカンドキャリアと呼び、二つをあわせてスポーツキャリアと考える視点を企業と本人の両方が共有することが大切です。

例えば、本人の意向や状況によっては大学などで学び直すことが必要となる場合があります。そのため、引退後の選手をどう活用するかという観点だけでは不十分といえます。現役アスリートを雇用する企業は、セカンドキャリアを見すえた支援策を検討することが必要です。

5. セカンドキャリアの受け入れで企業に求められるもの

少子高齢化による労働力人口の減少という背景から、近年ではセカンドキャリアを支援する気運が高まりつつあります。しかし、いずれのケースにおいても、さまざまな事情を持つ人材が能力を発揮できる環境や制度の整備が必要となります。

セカンドキャリアの対象となるミドル・シニア世代、女性、アスリートは、それぞれに企業に新たな価値をもたらす存在と捉えることができます。セカンドキャリア支援の意義を理解し、自社の組織力強化に生かす方法を検討してみるとよいでしょう。

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