チェーンストア理論
チェーンストア理論とは?
「チェーンストア理論」とは、主に多店舗を経営する小売業や飲食業などでみられる経営手法。あらゆる経営活動を中央集権的に本社に集中させ、現場はオペレーションに専念することで効率化を図ります。米国で生まれた手法で、日本には1960年代に伝わりました。同一商品を大量に仕入れ、販売することで、大多数の国民への商品・サービスの安定供給を叶えるモデルです。仕入れや在庫管理のコストを減らせるほか、業務のマニュアル化によって効率的な店舗オペレーションを行うことができます。
日本の経済成長を支えたチェーン店
最近は「脱チェーンストア」の潮流も
現代の日本では、どこに住んでいても同じような味と値段のファストフードを食べることができます。スーパーマーケットや商業施設に行けば、誰もが生活必需品を入手できます。この生活はチェーンストアによって支えられています。そして、日本の高度経済成長を小売の側から支えたのもチェーンストアでした。
1960年代、日本では大量生産型の産業が広がりましたが、流通やサービス業界は構造化が進まず、百貨店と個人商店しか存在しない二極的構造になっていました。この構造を大きく変えたのがチェーンストアです。チェーンストアの仕組みにより小売企業が急速に成長したことで、消費者はどこにいても安定した質・値段の商品を買えるようになったのです。
日本の成長を支えたチェーンストアは、経営形態によって三つに分類されます。一つ目は「コーポレートチェーン(CC)」で、本社直営のチェーンストアのこと。本社から統制しやすいため、問題があれば素早く改善でき、店舗の売上は全て企業の収益になるメリットがあります。二つ目の「フランチャイズチェーン(FC)」は、本社とフランチャイズ契約を結び、本社からサポートを受けながら店舗経営に専念します。日本のコンビニエンスストアの約9割はFCと言われています。三つ目は「ボランタリーチェーン(VC)」で、独立した店舗同士が提携し、一つの組織となって本部機能を結成します。仕入れや販促などのコスト削減に効果的な手法です。
一方、最近では「脱チェーンストア」の動きも見えます。成熟社会に突入し、売り手市場から買い手市場に変化した今、中央集権的で画一的な経営ではなく、顧客が期待する商品・サービスを地域や店舗によって変化させる必要があると、ビジネスのあり方を見直す企業が出てきているのです。
それに伴い、チェーンストアを経営する企業の人材戦略も変わりつつあります。これまでは実直に業務を遂行する人材が評価されてきましたが、現場に権限が委譲されるようになると、自律的に行動できる人材が求められます。社会や市場の変化に対応できる、自律型組織への変革が課題といえるでしょう。
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