集団浅慮(グループ・シンク)
集団浅慮(グループ・シンク)とは?
「集団浅慮」とは、集団で合意形成をすることによって、個人で考えた方針やアイデアよりも質が劣り、好ましくない結論を導き出してしまうこと。「グループ・シンク(Group think)」や「集団思考」とも呼ばれます。集団浅慮は社会心理学の「集団的意思決定」という分野の一つで、米国の社会心理学者アーヴィング・ジャニス氏によって提唱されました。集団凝縮性(集団の構成員が離れないよう引きつけ、集団内にとどまらせようとする力)が高いほど、組織の閉鎖性が高くなったり同調圧力が強くなったりするため、集団浅慮が起きやすくなると言われています。
不祥事はブラック企業だけじゃない?
優良企業にも不祥事が起こってしまうメカニズム
近年、ほとんど毎日と言っていいほど企業の不祥事がニュースになっています。従業員のケアレスミスから生じた事故や、経営層による不正や隠蔽など、さまざまな不祥事があります。コンプライアンスやリスクマネジメントの重要性は過去より浸透しているはずなのに、なぜ不祥事は後を立たないのでしょうか。
不祥事には、それぞれの企業が持っている「企業文化」が大きく影響しています。企業文化は、企業の歴史とその企業の構成員によって作られます。その時々の企業を取り巻く環境によって変化しながら、次に入社してくる世代へと引き継がれていきます。
では、どのような企業文化だと不祥事は起きやすいのでしょうか。この質問をすると、多くの人はブラック企業など“問題”を抱えた企業ほど不祥事が起きやすいと答えがちです。しかし、そうとも限らないのです。従業員の満足度が高く、一般的に優良企業と言われている企業でも、不祥事を起こす可能性は決して低くありません。
その原因の一つに集団浅慮があります。集団浅慮が発生する要因の一つとして、集団の結びつきが強いほど発生しやすい傾向にあります。合理的な判断を下すことよりも、集団としてのまとまりの良さや居心地の良さを優先することで、不合理な選択をしてしまうのです。誰かが違和感を抱いていても、「組織の和を乱したくない」といった理由から多数派の意見に従ってしまい、多様な視点からの意見が出づらくなることもあります。
自分が集団の中にいる場合、集団浅慮に陥っているかどうかは気付きづらいものです。集団浅慮が起きているときは、目標や手段を十分に精査しない、実効プランのリスクを検討しない、情報を比較して取捨選択しない、といった兆候が現れます。従業員の愛社精神が高く、新卒入社メンバーが中心で離職率も低い場合は、集団凝縮性が高い可能性があります。集団凝縮性が高いことは必ずしも悪いことではありませんが、集団浅慮を起こさないために、異なる意見が受け入れられやすく、反対意見を唱えやすい、心理的安全性の高い環境を築くことが重要です
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