システム思考
システム思考とは?
「システム思考」とは、物事の全体像を捉え、さまざまな要素とのつながりを把握したうえで、最も効果的な解決法へ向かうアプローチのことをいいます。目に見えている問題だけにとらわれるのではなく、複雑に絡み合う多種多様な事柄を考慮し、物事を本質的な解決に導くための思考法です。ビジネスを取り巻く環境がより複雑に、そして不明瞭になっている今こそ、最も影響を及ぼしそうな要素を見極め、構造的に考える力が求められています。
目に見えている出来事は
氷山の一角に過ぎないかもしれない
解決すべき問題を「システム」のように捉え、多面的な視点で問題解決を目指すシステム思考。多くの外資系企業がこの思考法を取り入れています。日本企業ではまだまだなじみの薄い思考法ですが、グローバル化やダイバーシティ&インクルージョンの流れなど、ビジネスを取り巻く環境が複雑になるなかで、真の問題解決につながる考え方として注目されています。
システム思考を考える際によく引き合いに出されるのが「氷山モデル」です。「氷山の一角」という言葉もあるように、表出しているものはあくまで全体の一部であることを表しています。目に見えている部分を「出来事」とすると、水面下には「行動パターン」「構造」「メンタルモデル」といった要素が隠れています。
わかっている「出来事」を基に、その事象に「パターン」があるかを確認し、それを引き起こす「構造」を突き止め、その構造を生み出している関係者(メンタルモデル)を洗い出す。このアプローチで、多角的に問題を見つめることができます。
たとえば、採用活動で過半数の候補者に内定を辞退されたとします。この出来事だけを見れば、採用担当者のフォローが甘かったのではないかと、担当者一人の責任にされてしまうかもしれません。
ここでシステム思考を用いるとすれば、まずは内定辞退にパターンがあるかどうかを探ります。すると、辞退した候補者の面接時の回答に共通点があった、同じタイミングで競合が選考をしていた、といったパターンが見えてくるかもしれません。次に、構造です。採用フローやスケジュールに合理性はあるか、また、競合と比べたときに見劣りする条件がないか。そして、それらを解決できる人物は誰なのかへと視点を切り替えていきます。
このようなプロセスを通じて、「担当者のフォローが甘い」という原因だけでなく、採用スケジュールや競合と差異、組織文化といったさまざまな要因を探り、課題解決に近づくことができるのです。
課題に対して本質的なアプローチをとるためのシステム思考。複雑化する環境下においては、経営層や管理職だけでなく、プロジェクトを担う社員一人ひとりが今後身につけていきたい思考法です。
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