センスメイキング
センスメイキングとは?
「センスメイキング」とは、直訳すると「意味づけ」で、数字、感情、行動、写真やビデオなど、さまざまなデータを集めて統合する力のことをいいます。マインドフルネスを組織研究の分野に持ち込んだことでも知られる、組織理論家のカール・ワイク氏が提唱しました。企業は今、先行きが不透明な時代を生き延びなければいけません。そんなとき、一つの物事をどう見るかという自社のスタンスを決める(意味づけする)ことで、周囲を巻き込んでいく力がセンスメイキングです。
意味づけを行うことで、ストーリーを生み、
ストーリーが生まれることで、説得力が増し前進する
日に日に進化するAIなどのテクノロジーを、「私たちの職を奪う存在」と見るか、それとも「私たちの生活をより豊かにする存在」と見るか。そこに正しい答えはありません。未知の物事にどのようなインパクトがあり、善悪どちらの影響を及ぼすかは誰にもわからないからです。そこで、経営層やリーダーが率先してセンスメイキングを行い、先に行動を起こせば、納得できるストーリーが生まれます。また、ストーリーが生まれることでさらに前進する、というループが出来上がるのです。
「センスメイキング」は、単なる「理解」とは異なります。カール・ワイク氏は、センスメイキングには少なくとも次の七つの要素を含んでいると述べています。
- アイデンティティ
自身や自身が所属する組織が何かというアイデンティティに基づいている - 振り返り
センスメイキングは現在進行形ではなく、過去を振り返ることで可能になる - イナクト
イナクトとは「制定」。行動と環境は相互規定的な関係にある - 社会性
主体と客体が切り離せない相対主義の中に生きている - 進行中
センスメイクには始まりもなく終わりもない。意味づけを修正していく循環プロセスの中にある - 抽出された手掛かり
認識されたものは常に全体の一部でしかない - 説得性・納得性
正確さよりももっともらしさのほうが自身や他者を納得させられる
センスメイキングは、物事の転換点となるような「予想外の事態」に直面したときに、組織に大きな影響を与えます。客観的には起こりえなかったことが、起こってしまう力がセンスメイキングにはあるのです。
この力をビジネスで活用すると、組織のステークホルダーがセンスメイキングを高めることによって、客観的に見れば起こりえないことを起こすだけの巨大な力が生まれると言えます。イノベーションを生み出すセンスメイキングは、今後の企業に求められる戦略の一つとなるでしょう。
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