経営デザインシート
経営デザインシートとは?
「経営デザインシート」とは、内閣府の知的財産戦略推進事務局が作成した、企業が将来を構想するためのフレームワークです。20世紀は良いものを作れば売れる時代でしたが、21世紀は体験や共感が求められるようになりました。無形資産がより多くの価値を生む時代へと変遷しているのです。知的財産をビジネスモデルと適切に結び付け、ブレイクスルーを目指すためのツールです。
社員、後継者、入社希望者、投資家たちとの
対話を促すコミュニケーションツール
2018年5月に内閣府が公表した経営デザインシートは、A3用紙一枚で自社の歴史や強みを可視化できるもので、少しずつ利用者を増やしています。知的財産戦略本部(首相官邸)のWEBサイトからダウンロードすれば誰でも使うことができる手軽さや、一枚で全体を俯瞰できる網羅性が特長です。原則として、経営者や幹部の利用を想定しています。
経営デザインシートに盛り込む内容は、大まかにまとめると次の通りです。(1)企業理念と事業コンセプト、(2)“これまで”の価値創造メカニズム、(3)“これから”の価値創造メカニズム、(4)“これまで”から“これから”へ移行の戦略です。一枚にこれだけの情報を記入する必要があることから、一つの項目に割ける欄が限られているのもポイント。スペースが足りない分だけ大切な要素しか書けず、企業にとってのコアとなる部分を明確にすることができる利点があります。
では、経営デザインシートはどのような場面で活用できるのでしょうか。経営者や幹部が頭の中を整理することが目的であれば、このフォーマットにこだわる必要はありません。企業の将来を網羅的に記載したシートは、企業を取り巻くステークホルダーとの対話ツールになるのです。経営者と従業員の間でのビジョンの擦り合わせ、経営者と後継者の事業継承、企業と入社希望者の相互理解、企業から投資家への情報提供、パートナー企業とのオープンイノベーションなど、さまざまなシーンで活用できます。
経営デザインシートを書くときに注意すべきなのは、埋めればいいという性質のものではないことです。大切なのは「これから」を構想すること。そのため、ただ現状を言語化するのではなく、実現したい「これから」を起点にバックキャスティングの考え方で現状とつなぎ、戦略を練っていきます。
良いものを作れば売れるという「モノの時代」は終わりました。企業の生存戦略の一つとして、知的財産を含む無形資産を磨くことはとても大切です。自社の強みを正しく認識し、将来像を言葉にして描くことで、これまで見えなかったチャンスが訪れるかもしれません。
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