市場化テスト
市場化テストとは?
行政機関が行っている公共サービスを民間にも開放し、競争原理を導入することで、官民どちらが価格と質の面で担い手にふさわしいかを決める制度です。官民競争入札制度とも言います。
公共サービスの効率化を目指すために
「官」と「民」が競い合う新しい制度
これまで、ほとんどの公共サービスは国や地方自治体、独立行政法人などが独占して行ってきました。こうしたものの中にはコスト面で効率的でなかったり、手続きに時間がかかったりするなど、利用者に負担を強いるものが少なくありません。「市場化テスト」は行政と民間が対等な立場で競争入札に参加し、サービスやコストの両面の比較を行い、最も優れた者が落札してサービスを担っていく制度です。
米国や英国、オーストラリアなどでは、1980年ごろから非効率的な「お役所仕事」に風穴を開ける効果的な手法として、市場化テストが本格導入されてきました。たとえば米インディアナポリス市では、ごみ収集から公共バスの運行、刑務所や消防署の建物管理、さらには市営ゴルフコースの運営に至るまで、さまざまな分野で競争入札を導入、サービスの向上とコストダウンに大きく貢献してきたといいます。市場化テストは究極の行財政改革、規制緩和と言うことができるでしょう。
日本でも2004年秋に政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が、市場化テストのモデル事業について広く民間から提案を募集したところ、75の事業者・個人から合計109件の提案が寄せられました。これらの提案をもとに2005年度のモデル事業として、再就職を支援する厚生労働省の「ハローワーク関連」、国民年金保険料の納付督促や年金相談など「社会保険庁関連」、刑務所の警備など「行刑施設」の3分野8事業が選ばれました。
このうちハローワーク関連の第1弾となる中高年の再就職支援施設「キャリア交流プラザ埼玉」(さいたま市)の運営については、今年5月の入札に9社が参加し、人事コンサルティング会社のブライトキャリア(本社・東京)が落札、6月から業務を開始しています。政府は2006年度から数値目標を含めた市場化テストの本格導入を目指していますが、仕事を根こそぎ奪われかねない官側の抵抗が強いうえに、同じ省庁が入札で「発注者」と「応札者」の二役を演じる矛盾や、官が入札に敗れた際の事業に従事していた公務員の処遇など、クリアしなければならない課題が少なくありません。
用語の基本的な意味、具体的な業務に関する解説や事例などが豊富に掲載されています。掲載用語数は1,400以上、毎月新しい用語を掲載。基礎知識の習得に、課題解決のヒントに、すべてのビジネスパーソンをサポートする人事辞典です。