企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

人事キーワード 掲載日:2019/02/14

【ヨミ】グロースマインドセット グロース・マインドセット

「グロース・マインドセット(Growth Mindset)」とは、自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できるという考え方のこと。社会心理学、発達心理学を専門とするスタンフォード大学の心理学教授キャロル・ドゥエック氏によって提唱されました。グロース・マインドセットは、「成長マインドセット」や「しなやかなマインドセット」とも呼ばれ、こうした考え方を持つことで失敗を恐れず、ストレッチな目標にも挑めるようになります。一方、この対にある考え方が、知性や才能を固定的だと考える「フィックスト・マインドセット」。近年では、変化に適応できる「グロース・マインドセット」の考え方をいかに従業員に根付かせるかが、人材育成の鍵となっています。

グロース・マインドセットのケーススタディ

「グロース・マインドセットが大切」と言うのは簡単
しかし、価値観を変えることは容易ではない

これまで経験してきた以上の能力を求められる仕事に対して、ついしりごみしてしまう、という人は多いのではないでしょうか。「本当に自分にできるのか?」「もし他者から評価されなかったら?」……。 こうした考え(フィックスト・マインドセット)に捉われてしまうと、なかなか新しい挑戦ができなくなってしまいます。

一方、「努力すればこれまで以上に能力を高められる」という考え方(グロース・マインドセット)を持って挑戦すれば、それが次なる成長につながるかもしれません。たとえ今の能力では難しい仕事でも、解決するまで取り組み続けるマインドは、仕事をする上でとても重要です。

それぞれのマインドセットの違いは、ビジネスシーンでの対応の仕方にも現れます。フィックスト・マインドセットの場合は、課題に対して特定の観点からのみ取り組むことが多く、過去の経験に固執してしまう傾向にあります。

一方でグロース・マインドセットの場合は、多角的な観点から課題に取り組むことができます。過去にうまくいった方法を選択肢の一つとして、他のさまざまな選択肢を探る。それによって、新たなアイデアや手法が生まれやすくなるのです。そのほかにも、困難との向き合い方、批判の捉え方、努力の姿勢、他人の成功への認識など、あらゆる出来事への態度に違いが現れ、周囲の従業員に対する影響力も変わってきます。

近年、市場環境の変化が激しくなる中で、企業には新しい挑戦が求められています。それに伴い、従業員にも経験したことのない仕事に取り組む機会が増えるでしょう。その時、恐れずに一歩を踏み出し、柔軟に対応ができるかどうかが、大きなポイントとなります。グロース・マインドセットを持った人材の育成は、企業の重要な課題なのです。

しかし、「グロース・マインドセットが大切だ」と言うことは簡単でも、それを育むことは容易ではありません。なぜなら、マインドセットは過去の人生の中で積み上げてきたものの見方であり、一朝一夕で変えられるものではないからです。また、自分の意思だけですぐ変えられるものでもなく、共に働く同僚や上司・部下との関係、組織の文化や制度・仕組みなどにも大きな影響を受けることがわかっています。

グロース・マインドセットを育むためには、個人の努力と組織の協力が必要です。組織ができることは、まず環境を整えること。自分の意見が尊重される心理的に安全な環境を整えることで、質の高いコミュニケーションができるようになります。また、どのレベルでのマインドセットを従業員に求めるかという基準の設定も大切です。その人を評価する人たち(課長、部長、事業部長)などの間で方針が異なっていると、せっかくの育成も効果が半減してしまいます。グロース・マインドセットは短期で育つ価値観ではないため、すぐに効果が実感できなくても、中長期的な視点で続けていくことが必要です。

記事のオススメ、コメント投稿は会員登録が必要です

あわせて読みたい

マインドセット
「マインドセット」とは、経験や教育、その時代の空気、生まれ持った性質などから形成されるものの見方や考え方を指す言葉です。信念や心構え、価値観、判断基準、あるいは暗黙の了解や無意識の思い込み、陥りやすい思考回路といったものもこれに含まれます。 (2011/10/24掲載)
パフォーマンス・マネジメント
「パフォーマンス・マネジメント(Performance Management)」とは、従業員のパフォーマンス(行動のレベル・成果)を高めるため、一人ひとりの持つ能力やスキル、モチベーションを引き出すと同時に、上司が効果的なフィードバックを行い、目標達成を目指すマネジメント手法のこと。従業員を評価・マ...
経験学習
人は実際の経験を通し、それを省察することでより深く学べるという考え方を、人材育成の領域では「経験学習」と呼びます。組織行動学者のデービッド・コルブはこうした学びを、体系化・汎用化された知識を受動的に習い覚える知識付与型の学習やトレーニングと区別し、「経験→省察→概念化→実践」という4段階の学習サイ...

関連する記事

白木 三秀さん:企業の海外展開の要諦 ――グローバル・リーダーに求められる「グローバル・マインドセット」を、いかに醸成していくのか
早稲田大学教授の白木三秀先生は、「グローバル・リーダーの育成には、グローバル・マインドセットを醸成し、資質のある人材を選抜することが重要」と仰います。それでは、日本企業は具体的に、どのようにして「グローバル・リーダー」を育成していけばいいのでしょうか、また、「...
2014/04/25掲載キーパーソンが語る“人と組織”
帝人株式会社: 「One Teijin」の旗印の下、大胆な人事改革に着手 帝人が取り組む人財育成の要諦とは(後編)
風土改革を実現するために行った「One Teijin」の取り組みにより、帝人グループのコミュニケーションは活性化し、グループダイナミクスが向上しました。その背後には、経営トップの想いを実現する、人事部の献身的な対応が見え隠れします。
2016/07/29掲載となりの人事部
従業員を育成できていると「あまり感じない」企業が過半数
『日本の人事部 人事白書2020』から、「育成」の調査結果の一部をご紹介します。
2020/10/27掲載人事白書 調査レポート

関連するキーワード

分類:[ 人材開発 ]

注目のキーワード解説をメールマガジンでお届け。

メンタル対応可能な産業医を紹介します POSITIVEの導入事例はこちら 「よくわかる人事労務の法改正」ガイドブック無料ダウンロード

50音・英数字で用語を探す

注目コンテンツ

【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


ウィズコロナ時代の働き方改革<br />
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

ウィズコロナ時代の働き方改革
デジタルシフトで変わる!店舗が実施した非対面の人材開発、職場コミュニケーションとは

新型コロナウイルスの感染拡大は、店舗事業者に甚大な影響をもたらした。さ...