適性検査
適性検査とは?
適性検査とは、組織や職務に対して適切な能力・資質を備えているかどうかを測る検査のこと。人材としての適性を客観的に判定し、採用や配属におけるミスマッチを防ぐことを目的に開発されたものです。客観的かつ多角的に適性を見極めるため、学力や知識だけでなく、性格的な傾向や思考、価値観、行動特性なども基準として用いられます。
1.適性検査の概要
適性検査は、採用選考のステップの一つとして知られていますが、職業以外にも学科など専門分野への適性を見る際に行われることもあります。
日本の民間企業で適性検査の利用が始まったのは1970年代。その後、人材が持つポテンシャルを客観的に判断できる検査として、広く普及しました。現在では、新卒採用・中途採用ともに、自社への適合性を判定する一つの基準として活用されています。また、企業によっては採用だけでなく、配属やキャリア開発の判断材料として適性検査を活用することもあるようです。
- 【参考】
- 「新卒採用.jp」新卒採用の実務
適性検査で分かること
適性検査では、主に以下の素質を知ることができます。
- 能力:職務遂行に必要な知識・学力を持っているか
- 性格や行動特性:職務や人間関係においてどのような特性があるか
- 興味や関心の方向性:職種や職務に対する興味・関心はどの方向にあるか
こうした要素から人材への理解を深めることができるとともに、職務や組織風土とのマッチングを客観的に判断することが可能です。
適性検査の効用
適性検査は統計的な分析を用いて、さまざまな角度から人材が持つ素質を測定します。そのため、人間の経験値や主観による判定のばらつきもありません。
適性検査を取り入れるメリットとしては、主に以下のものがあります。
- 人物評価のフレームを獲得できる
- 人物評価における多角的な視点を獲得できる
- 人物評価を客観的に行うことができる
- 選考者に対し公平感や納得感を醸成できる
- 人事データを効率的に収集できる
- 人事データの共有や保管が容易になる
特に、決まった時期に一括採用を行う企業が多い新卒採用では、採用担当者が効率的に活動を行うことが重要です。そのため、採用選考にかかる負担軽減を目的に、適性検査を導入している企業も少なくありません。
2.適性検査の種類
適性検査の種類は、下記のように分類することができます。目的に合わせて、どの検査を導入するかを検討しましょう。
能力テスト | 職務に必要な知的能力を持っているかを測定するテスト。数的処理や言語的処理のほか、論理的思考の能力を測ることができる場合が多い。知識・学力や論理性など、職務に必要な能力を持っているかを見極めることができる。 |
---|---|
適性テスト | 能力や特性を知るテストの総称として用いられる。職務を限定せず、一般適性を見るテストや、特定の職務においての適性を見るテストなどがあり、仕事との関連において幅広く使われている。 特に近年では、職場のメンタルヘルス対策が求められる中で、ストレス耐性やストレスを受けたときの行動特性を知る検査項目が注目されている。 |
学力テスト | 学問領域における知識や技能の程度を知るためのテスト。 |
性格テスト | 性格特性を知るためのテスト。 |
パーソナリティテスト | 能力を含む人間性に着目しているテスト。特に、性格面を知るために行われる。パーソナリティや性格面は、面接では見えにくい心理面を把握するうえで有効なテストといえる。 |
興味テスト | 複数の職種において、興味の程度を知る場合に使用される。 |
知能テスト | 知能因子に着目したテスト。職務との関連性は求めず、純粋に知能の診断をする場合に使用される。 |
心理テスト | 心理学の手法に基づいて行われるテスト。特に、精神障害などメンタル面の状態を知るために用いられることが多い。 |
- 【参考】
- 「非認知能力」とは
- 「ストレスチェック制度」とは
実施方法の選択
適性検査の実施方法には次のものがあります。
(1)受験者が自宅で行うWEBテスト
多くの受験者を対象に適性検査を行う場合、会場や管理者が必要となります。受験者が自宅で行えるWEBテストでは、これらのコストやパワーを削減できます。また、海外や離れた地域に住む受験者も受けやすくなるというメリットがあります。
一方で、個人認証が難しく受験者の様子を確認できないため、代理受験などの不正が起きる可能性が指摘されています。企業によっては、検査項目を絞って一次スクリーニングにあてるなど、影響範囲を考慮したうえで活用しています。
(2)社内で行うWEBテスト(インハウス)
社内で行うWEBテストはインハウス形式とも呼ばれ、自宅で受けられるWEBテストのデメリットである個人認証の問題を解消することができます。しかし、会場を用意する必要があることや管理者が必要になることから、コストやパワーがかかります。
(3)テストセンターで行うテスト
適性検査を提供する会社が用意しているテストセンターで行う方法です。管理者がいるため不正のリスクがなく、自社にかかる負荷や手間を削減することができます。
3.適性検査を選ぶポイント
適性検査を導入することで、人物像を客観的に判断したり、採用担当者の負荷を軽減したりすることが可能です。しかし、自社に適していない方法をとってしまうと、これらのメリットを享受することができません。では、導入を検討する際は、どのような点を踏まえるべきなのでしょうか。
実施目的の明確化
適性検査にはさまざまな種類があり、どのような目的で実施するのかによって選ぶべき検査内容が異なります。同じ企業であっても、新卒と中途採用では把握したい内容が異なることも多いでしょう。
そのため、事前にそれぞれの選考における検査の目的を明確にしておく必要があります。目的の設定にあたっては、自社が求める人物要件や選考基準についても整理しておく必要があります。
- 【参考】
- 適性検査の形態(適性検査.jp)
分析結果の活用
適性検査を行ううえで重要となるのが、分析結果をどのように活用するかという点です。分析結果の内容や計測方法は、適性検査を提供する会社によって異なります。サービスを検討する際は、以下の点に注意しましょう。
- 平均値との比較が可能か
- 測定値の信頼性は担保されているか
- 質問項目が自社の求める人物像の測定に合致するか
また、報告内容が分かりやすく、実践的なものになっているかという点も、各社のサービス内容を比較するときにチェックしておきたいポイントです。
4.適性検査の限界を理解して活用する必要性
現在の採用選考の現場では、能力における自社への適合性はもちろん、ストレス耐性や対人関係力といった、近年浮上している課題への対応も求められるようになっています。また、グローバル化への対応が急がれ、多様な人材の雇用を検討する企業が増えています。こうした動きが活発化するなかでは、これまでの画一的な選考基準では対応できない場面が出てくるでしょう。
適性検査は、科学的なアプローチによる人物評価で人事業務を支えるツールです。自社に最適な適性検査を選ぶことで、多くのメリットを得ることができます。しかし、適性検査を導入すれば、欲しい人材を完璧にスクリーニングできると判断するのは早計です。
適性検査は心理学や臨床データをもとにした測定が可能である一方、人には数値化が困難な心理的要素が多数あります。適性検査は絶対的な尺度ではなく、限界があることを理解したうえで採用選考に生かすことが重要です。人事は、面接などと合わせ、適性検査をどのように活用するべきか、しっかり検討する必要があります。
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