【連載】エンゲージメントサーベイを選ぶ際の5つの要件 #3
人的資本経営の成果を示すメルクマールとして、従業員エンゲージメントが重視されています。また、上場企業においては、人的資本の情報開示項目として、従業員エンゲージメント指標を開示する企業数が増加しています。従業員エンゲージメントを経営指標として用いるためには、当然のことながらそれを測定する必要があります。そのために、エンゲージメントサーベイを活用する企業(官公庁、その他の組織を含む)が増加しています。
エンゲージメントサーベイを自社で開発する企業もあれば、外部の専門サービスを利用する企業もあります。いずれの場合であれ、エンゲージメントサーベイの結果が信用できるものでなければ、適切な経営判断に用いることはできません。
では、どのような視点でエンゲージメントサーベイを選べばよいのでしょうか?本稿では、正しいエンゲージメントサーベイ選びのための5つの要件について、3回に分けて解説します。第3回目は、5つの要件のうちの最後の1つについて解説します。
第1回目はこちらをご覧ください。https://jinjibu.jp/spcl/keiji-matsuoka/cl/detl/5628/
第2回目はこちらをご覧ください。https://jinjibu.jp/spcl/keiji-matsuoka/cl/detl/5642/
5. 結果数値に対する十分な解説があるか?
エンゲージメントサーベのシステムを導入して、数値やグラフが立派なデザインで可視化されたものの、結局現状がよくわからないという状態に陥っている企業は少なくありません。
サーベイ結果を経営層や現場で読み込み、自分たちの組織の現状分析を行うことは重要です。
しかし、数値データを渡されて、その値が何と比較して高い/低いと言えるのか、どれくらいの乖離があれば明らかな差があると言ってよいのか、といったことを統計の専門家ではない役員・社員が判断するのは容易ではありません。
そのため、サーベイ結果の表やグラフに対して、一定のレベルまでは解説が提供され、経営層や現場のメンバーはそこから先を分析すればよいという状態にして、結果を共有することが求められます。
データ分析の専門組織を持つ一部の大企業は社内で分析することも可能ですが、そのような専門チームが存在しない企業が大半であるため、サーベイを選ぶ際にはどの程度の解説が提供されるかを確認した方がよいでしょう。
以上、全3回に渡り、エンゲージメントサーベイの選び方について解説を行ってきました。
皆さんの会社で導入・または導入検討をしているサーベイはこれらの要件を満たしているでしょうか?
エンゲージメントを高める=エンゲージメントサーベイを導入するということではありません。エンゲージメントサーベイは、あくまでも組織の状態を把握するものであり、実施をしただけでは従業員のエンゲージメントは高まりません。
大切なのは実施「後」に何をするかということになります。
またサーベイはあくまでも定量的な情報を得るためのものであり、サーベイスコアだけでは分からない以下のような定性的な情報を別途収集することが重要です。
・その課題の原因になっている事象
・課題の解決が出来ない(または難しい)理由
・どのようにその課題を改善していきたいか
近年では、従業員とのサーベイ結果の読み解き会、マネジャーを対象としたサーベイフィードバックワークショップ、キーパーソンヒアリング等を行う企業も増えてきました。
エンゲージメント向上のためには、「正しい」エンゲージメントサーベイを導入し、実施「後」の取り組みをしっかり行うことがより重要となります。
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日本において、1on1とOKRを含む、パフォーマンスマネジメントの重要性をいち早く唱え、多くの企業の経営者と共にマネジメント改革に携わる。
東京大学法学部卒業後、アクセンチュアにて、人と組織の変革を担当するチェンジマネジメントグループの立ち上げに参画。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナー、エグゼクティブコミッティメンバーを歴任後、アジャイルHRを設立。
松丘啓司(マツオカケイジ) 株式会社アジャイルHR 代表取締役社長
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