ストレスチェック導入にかかる費用はどれくらい？

今年の12月から従業員へのストレスチェック実施が義務化されます。
対象は従業員数50名以上の事業所ですが、厚生労働省は2020年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業所の割合を100%にするという目標をかかげており、今後、段階的に対象企業の規模が引き下げられていく可能性も考えられます。

上場企業などの大手企業であれば、すでにストレスチェックを含む従業員のメンタルヘルス対策に取り組む企業も多いと思いますが、中小企業ではまだまだ少ないのが実情でしょう。そして、経営者にとって一番気になるのが「ストレスチェックの実施にどれくらいの費用がかかるのか」という点です。

ストレスチェックの実施にあたって発生する主な費用について考えてみましょう。

産業医への業務委託料
すでに契約している事業所の場合であっても、ストレスチェックの実施者として面談者の選定等を行うには別途料金が必要なケースもあるようですので、確認が必要です。

現実には従業員50名以上の事業所であってもこれまで産業医を選任していなかったという事業所も少なくないと思います。その場合、は新たに契約も必要になります。その場合の金額は業務内容によって差がありますが、安くても月額10万円前後は考えておいた方がよいでしょう。

ストレスチェックの回答結果集計
紙の帳票による実施か、Web上での実施かによって金額はことなります。恐らく、集計の手間などを考えるとWeb上やイントラネット上での回答が多いと思われます。

回答および集計ツールについては厚生労働省が無料で配布すると発表しています。詳細は2015年秋以降に発表のようですが、以下のような制約があります。

１．Web上での回答ではなく、社内イントラネット上での回答
２．上記１のため、原則スマートフォンでの回答は不可
３．設問項目は厚生労働省推奨の57項目または23項目のみ、追加変更は不可
４．対応OSがWindowsXP～Windows8まで
５．集団分析をする部署は事前にしか設定できない
（全体データの中で値が高い項目について部署別にソートなどができない）

金額的には厚生労働省発表のツールを使うのが一番安いのは間違いありません。
他にもEAP事業者やIT企業などの各社がストレスチェックツールを発表しています。金額はサービス内容によって大きく異なり、最少で10万円を切るものから100万円以上するものもあります。展示会などで情報収集をした限りでは20万円～30万円程度が最も多い価格帯という印象です。

全体傾向としてはEAP事業者サービスは内容が充実している分、金額は高く、IT企業が提供している場合はサービスは最小限で値段は安いケースが多いようです。

高ストレス者の選定
産業医が契約の範囲内で行ってくれるのであれば、特に費用は発生しません。なお、高ストレス者の選定はストレスチェックの実施者が行う必要があります。さらに実施者になれるのは医師、保健師、研修を受けた看護師および精神保健福祉士のみですので、注意が必要です。

EAP事業者の場合はストレスチェックの回答集計ツールと高ストレス者の選定なども含めたパッケージとして販売しています。

面談の実施
高ストレス者への面談は医師が行う必要があります。産業医が望ましいとされていますが、必ずしも産業医である必要はありません。何名に対して面談の実施が必要かはストレスチェックをしてみないとわからないため、一人当たりいくらという金額設定をしているケースが多いようです。

こちらもEAP事業者は回答ツールとパッケージにして、5人までは基本料金に含み、それ以上は面談1名につき従量課金という形でサービスを提供しているケースもあります。

ストレスチェックにかかる費用は従業員数によっても差が大きくなります。
従業員50名以上の事業所が対象ということですが、まだ産業医は専任されていない場合には産業医の選定も含め、最低でも年間で150万程度はかかると考えてよいのでしょう。
すでに産業医を選定しているが、ストレスチェックには新たに取り組むというケースの場合は回答・集計ツールは無料のものを使用すれば費用をおさえられます。ただし、産業医が現状の契約のままで高ストレス者の選定や面談なども担当してくれるのかどうかは確認が必要です。産業医は単価が高いため、EAP事業者などが提供している高ストレス者の選定や面談までがパッケージになっているサービスを利用した方が結果的に割安になるという可能性も考えられます。