令和時代に求める中間管理職として求める役割とは
令和時代に求める中間管理職として求める役割とは
~中間管理職の3つの役割とポイント~
中間管理職が組織変革の要となる
中間管理職とは
中間管理職とは経営層と現場社員の中間のポジションであり、「ミドルマネジメント」とも言われる。現場の仕事をマネジメントしながら、会社の方向性や戦略を部下に伝えていく、経営層と現場の橋渡しをする立場であり、経営層にも現場にも影響を与えることができるポジションでもある。つまり、中間管理職はリーダーシップとマネジメントの双方の能力が求められる。
中間管理職の重要性
前項でお伝えした通り、中間管理職は経営層と現場の橋渡しであり、この層がうまく機能しなければ会社の成長にも影響を及ぼす。リーダーとしてチームをけん引する力、売上・営業数字をマネジメントする力が無ければ、組織の結束力は弱くなる。当然部下の成長も遅くなり、十分なパフォーマンスを発揮することができない。近年はVUCAの時代と呼ばれ、先行きが見えない中、働き方も多様化し、よりチームをまとめることが難しくなってきている中、中間管理職の重要性はさらに高まっている。
中間管理職に求める3つの役割とそれぞれのポイント
明治時代の著名な政治家である後藤新平の言葉に「財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上」がある。中間管理職に当てはめて考えると、自分が仕事で利益を出して50点、チーム(部門)の役割(業績向上)を果たして80点、部下を育成して100点である。ここでは具体的に中間管理職が果たすべき3つの役割について紹介したい。
1.第一の役割:社員のモデル的役割
先ほどと同様に山本五十六の有名な言葉に「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」がある。チームメンバーをはじめ、人は思い通りには動かない。強引に動かすよう指示をするのではなく、まずは自分がモデルとなり、それをまねてもらうことから始めていく。つまり中間管理職自身の言動そのものがモデルである。ここではモデル的役割としてポイントとなる3点を紹介したい。
(1)率先垂範(プロとしての姿勢)
会社やチームの目標に対して、自ら「やってみせる」という意思表示と行動が重要である。
管理職自身が諦めていたら、当然部下にも伝わり積極的に行動しなくなる。上司自ら行動することで、部下も同じ行動をとるよう促すことができる。ただし、当然行動量が増えれば負担も増え、他のマネジメント業務に影響する可能性もある。大切なことは無理して負担を増やすのではなく、何を大切にし、行動しているのかを部下に示すことである。
(2)社員としての自覚と使命感
単に売上・利益だけを追うのではなく、会社の目指す姿や社会的な貢献価値を十分に理解し、社員としてあるべき姿の実現に向けて努力を重ねる姿勢を示すのである。この積み重ねが部下・後輩に対してもいい影響を及ぼし、組織風土の醸成にもつながる。
(3)担当する仕事の実務能力・知識
管理職自身に実務能力・知識が備わっていなければ十分な指導はできない。モデルとなるためには、職種ごと会社が求める能力を発揮するとともに、知識においても幅広さ、深さが求められる。十分な能力・知識が備わってから中間管理職に昇格すればいいが、今後に期待を込めて抜擢される場合もある。大切なことは、たとえ十分備わっていたとしても、それらの能力を高めていこうと努力する姿勢を部下に示すことである。
2.第二の役割:チームの業績を上げる
次にチーム全体の業績を上げることが求められる。まずはチームとして求められている業績は何かを十分理解し、メンバーに分かりやすく伝えることが求められる。業績向上に向けて一丸となる組織風土を醸成していくポイントを紹介したい。
(1)決めたことをやり切る
組織・チームのルールを守り、守らないメンバーには必ず注意する。あくまで業績ではなく、報告や遅刻など会社のルールに対して指導する。たとえ売上を伸ばしている社員であっても、良い・悪い行動に対して区別しはっきり指導する習慣が大切である。
(2)管理職自身の率先垂範
前項でもお伝えしたが、管理職自身が売上を伸ばすための行動を示す必要がある。上司が絶対達成するという強い姿勢を示すことで周りを巻き込むことができる。
(3)重点・集中・徹底
やる気のある社員・能力のある社員を中心に行動の渦をつくり推進する。いかに業績の向上に直結するかを考え、徹底して反復実践する。何より成果を出すスピードが重要である。
3.第三の役割:部下を育成する
最後に自らモデルを示し、チームの業績を上げながら、メンバーの成長を促すことが求められる。そのためにもメンバー一人一人と向き合い、特性を理解した上で適切なアドバイス、目標設定を通して成長を支援することが重要である。ここではメンバーを育成していくためのポイントを紹介したい。
(1)「仕事」を与えて成功体験を積ませる
メンバーを成長させるためには、教育や指導だけでは実現できない。メンバー自らが仕事を通して、成果を上げ「成功体験」を積むことが重要である。簡単な仕事であれば成功体験を感じることはない。特に下記3点を意識した経験をさせることが望ましい。
a.可能な限り本人が持つ能力の120%のレベルでの目標設定
b.本人がチャレンジしたいテーマを設定する
c.他人の協力を得ながら実施する仕事
周りを巻き込むからこそ、達成した際に感謝され、喜んでもらえる。少しハードルが高いからこそ、頑張って良かったと成功体験として感じる貴重な経験となる。
(2)やりがいを感じる仕事を任せる
メンバーの中でも、ある程度経験を積むと自然と情熱を持って取り組む仕事が生まれることが多い。そして、情熱を持って取り組むからこそやりがいに感じるのである。やりがいを感じるかは、その部下の個性であり、持ち味となる。その個性を伸ばす指導が重要となる。
(3)チームメンバーに自信と誇りを持たせる
自信とは「自分を信じること」であり、自信は成功体験から生まれる。やればできる、達成感こそ誇りにつながる。したがって、部下に対してダメ出しばかりしていても「自信」や「誇り」にはつながらない。優秀なメンバーほど、なぜうまくいかなったか理解しており、理解できていないメンバーには寄り添って指導することが必要である。つまり相手に合わせることが重要である。
さいごに
有名な集団法則として「2・6・2の法則」がある。メンバーにもチャレンジ精神の高い2割と非積極的な2割、残りの6割はその中間層に分かれる。この6割を中間管理職がモデルとなり、チームとともに、引き上げることにより、組織風土も変わり強い組織をつくることができる。そのためには中間管理職が自身の役割を認識し、経営層と連携していくことが求められる。
本コラムを通じて中間管理職に求める役割や人材育成に活かしていただければ幸いである。
※本コラムは柴田が、タナベコンサルティングの経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。
【コンサルタント紹介】
株式会社タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 コンサルタント
柴田 貴也
大手人材派遣会社にて採用支援・人材育成事業に従事。その後新規事業の立ち上げで飲食・宿泊事業の責任者として従事した後、当社へ入社。「社員がイキイキと働き、主体的に取り組む組織作り」を信条のもと、戦略的な人事コンサルティングを行っている。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- 人材採用
- 人事考課・目標管理
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創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績
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