中心化傾向とは?人事評価における中心化傾向に対する対策を解説
中心化傾向とは?人事評価における中心化傾向に対する対策を解説
正しい評価で部下の成長を支援
中心化傾向を防ぐためには評価者が正しい評価を実施することが重要
中心化傾向とは
中心化傾向とは、評価点数や評価ランクが中心に集中し、評価の高い・低いがあるにもかかわらず、その差がはっきりしないことをいう。例えば、人事評価において5段階で評価を行う場合、中心である3に評価が集まった状態のことを指す。人事評価の際に評価者が陥りやすい評価エラーの一つである。
※評価エラーには主に中心化傾向の他に、ハロー効果、期末効果、寛大化傾向、逆算化傾向、対比誤差がある。
中心化傾向が生じる要因
中心化傾向が発生する要因として、以下の3点が挙げられる。
1.人事制度上の評価基準があいまい
評価基準があいまいであれば評価者が評価のメリハリをつけることができずに結果的に評価が中心に寄ってしまうケースである。
2.部下の仕事内容、能力を理解していない
働く場所が物理的に離れており、部下との関わりがないといった理由で、仕事内容や、発揮されている能力を理解しておらず、感覚的に中心の評価をつけてしまうケースである。
3.部下の気持ちを過剰に気にし過ぎてしまう
部下の評価にメリハリを付けてしまうことで低い評価を取得した部下は結果的に処遇(給与・賞与・役職など)が上がりにくくなり、部下から嫌われてしまうのではないかと過剰に気にした状態で評価をつけると中心に寄った評価になってしまうケースである。
これらのことを要因として無難な中心の評価を付けてしまうが、結果的に部下は"正当に評価がされていない"と感じ、働くモチベーションの低下や信頼関係の低下を招いてしまう。
中心化傾向を防ぐ対策
中心化傾向を防ぐ対策は、評価者個人と企業の2つの面で行う。
1.評価者が行う対策
(1)評価基準の明確化
「要求するレベルを達成:3点」、「要求するレベルを上回り、身近なメンバー内でのモデル人材:4点」、といったように、
それぞれの評価基準に対してどのような状態になったらどの評価点数になるのか、部下との間で握っておくことが必要である。
(2)日ごろの部下の働きを観察・対話・記録する
評価の時期に慌てて評価期間の働きぶりを思い出すのではなく、日ごろから部下・後輩の働きぶりを観察し、
評価すべき点や改善が必要な点について伝え(対話)、良かったことや課題点を記憶しておくのではなく
メモなどを通じて記録しておくことで、感覚的な評価ではなく具体的で納得性のある評価へと繋がる。
2.企業が行う対策
(1)評価者研修を通じた評価者のレベルアップ
人事評価の目的は、給料や昇降格の査定を行うためだけではなく、評価を通じた人材育成にあることを再認識してもらう。
そのため、評価を行うことは、覚悟をもって部下と真摯に向き合い、評価シートを通じて良いところも改善が必要なところも伝えるというマインドセットを行う。
(2)評価決定プロセスを見直す
一次評価、二次評価、三次評価と最終評価決定までのプロセスがあるが、その中で評価調整や評価を付けた根拠を確認する場を持つことも評価エラーを防ぐには有効である。最終確認の場である調整会議は人事部や役員だけで進めることも多いが一次評価者も巻き込む事で認識のズレを確認することができる。
さいごに
ここで押さえておいていただきたいことは評価分布が中心に寄るということが問題なのではなく、"根拠なき中心評価"が問題なのであり、事実と異なる評価が納得性を下げる。
人事制度は設計2割、運用8割と言われており、どれだけ良い評価制度を設計しても、運用がうまくいなかければ、効果は激減する。そのため、中心化傾向を含む評価エラーについては評価者個人の問題としてとらえるのではなく、評価者研修を定期的に実施するなど、会社全体の問題としても対応していただきたい。
※本コラムは青柳が、タナベコンサルティングの経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。
【コンサルタント紹介】
株式会社タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部 コンサルタント
青柳 湧也
専門商社において、多種多様な業界への営業および人材育成業務に携わり、当社へ入社。組織・人事・教育の専門家として、「社員全員が働きがいと働きやすさをを実感できる組織作り」を信念にHRコンサルタントとして活躍中。中小企業診断士。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- 人材採用
- 人事考課・目標管理
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創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績
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