人事PMI実行フェーズにおける重要ポイント
人事PMI実行フェーズにおける重要ポイント
グループ経営・グループ人事シナジー最大化を目指すPMIの進め方とは
人事PMIの価値とは社員一人ひとりが新たな経営戦略・組織を受け入れ、行動レベルで変革していくことにある
PMIの意味合いと価値とは
昨今、国内の低成長、経済環境の変化などを理由に日本企業においてM&Aは堅調である。
数10年ほど前までは大企業同士が行うものというイメージが強かったが、後継者不足や事業継承を目的とした中小企業におけるM&Aが増加したことにより、市民権を得たと言える。改めて、M&Aの本来の目的は単なる企業拡大ではなく、双方のシナジー効果を最大限に発揮させる事にある。その目的を実現させるための重要なプロセスがPMIである。
PMIとは『Post Merger Integration』の頭文字をとったもので、直訳すると「合併後の統合」を指し、一言に統合と言っても制度の統合だけではく業務の統合、組織文化の統合なども挙げられる。PMIの目的の一つは企業価値の向上にあり、前述している通り、単に企業の規模が大きくなっただけではM&Aの目的を十分に果たせたとは言い難い。統合直後に即価値を感じることが難しい場合も、一定期間経過後に何らかの形で価値の向上が図られて初めて目的が達成されたと言えるだろう。
人事PMIの目的と達成すべきミッション
本来のM&Aの目的を果たすためにも人事領域におけるPMIの重要性は極めて高い。
人事PMIが不十分だと例えば、コミュニケーション不足により新たな組織の戦略・方向性に共感が得られておらず、新たな組織に馴染めず事業運営や統合作業に必要であるキーマンが辞めてしまうケースや、人材マネジメント(人事制度、採用、異動、実運用ルールなど)の統合が不十分であり、社員が処遇・職務内容・役割に納得していない状態で新たな組織が始動することになってしまう。
何よりもM&Aという大きなイベントによって会社には経営方針・組織・個々人の仕事の進め方などそれぞれに"変化"をもたらす。M&Aによって起こしたい変革を確実に導き、社員一人ひとりに良い変化を促していく事がM&Aの成功における人事PMIの重要な目的だといえる。人事PMIの進める上でのポイントについては次の項より確認いただきたい。
人事PMIを進める上での重要ポイント
人事PMIを進める上で以下の3つのSTEPに分ける事ができる。
STEP1.現状認識
STEP2.人材マネジメントシステムの構築
STEP3.チェンジマネジメント
STEP1:現状認識
人事戦略・人事ポリシー(社員に対する思想)・人事制度がどのように設計・明文化をされているかの分析(所謂人事DD)を行う。ここで確認すべき重要ポイントは会社が社員に何を求め、また社員が会社に何を求めているのかを経営者のインタビューや制度の内容から紐解き、双方の企業の考え方にギャップがないかを慎重に見極める事である。
ここを見誤ると制度構築において大きな影響が出てしまいかねない為、ぜひ押えていただきたい。
STEP2:人材マネジメントシステムの構築
ここでは主に制度面の統合について触れていきたい。
M&A後1社2制度の人材マネジメントシステムが併存することになるが、そののまま走らせるべきなのかという問に対しては、M&Aの目的に立ち返れば原則はNoである。1社2制度では両社の社員の協働を促す事は難しいく、管理部門の負担も考えると1つに統合する事をオススメする。(もしくは、共通すべき要素と独立すべき要素に分けることも一つ)
制度統合の手法は以下の3つがあげられる。
①片寄せ型・・・一方の企業の制度に寄せて設計していく手法。
②ハイブリッド型・・・両社制度の良い所取りで設計していく手法。
③再構築型・・・ゼロベースで会社が目指すべきあるべき姿に沿った制度を設計していく手法。
いずれの手法を取るにしても合併後、『人材の価値が最大化される仕組みとして機能するか』という視点で最適な手法を選んでいただきたい。
STEP3:チェンジマネジメント
チェンジマネジメントとは組織や業務に関する様々な変革を推進・加速し、社員に変革を受けて入れてもらうステップである。第一段階は個々人に対して、どのような変化が起きるのか、その際にどのような影響が発生するのかについて正しく伝達する事である。第二段階は変革を理解した上で、研修や個別面談を通して不安要素や心理的抵抗を取り除き新しい変化に一日でも早く慣れてもらう事が重要である。つまり社員とのコミュニケーションを密に取り、その上で行動レべルで新たな組織の経営方針に向かってもらう事が重要なポイントである。
上記内容を踏まえ改めてM&Aの目的は何であるか、目指したい方向性に進んでいるのかという点を常に意識しながら、 人事PMIを進めていただきたい。
※本コラムは山中が、タナベ経営の経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。
【コンサルタント紹介】
株式会社タナベ経営 HRコンサルティング事業部
HR大阪本部 コンサルタント
山中 惠介
中堅総合ファッション企業の人事部門において、人事労務・採用・人材育成等を経験後、タナベ経営入社。現場での実務経験を活かした、クライアントに寄り添うコンサルティングを得意とする。社員が継続的に活躍・成長してゆく仕組みづくりを中心に人事分野で幅広く活躍中。
主な実績
大手小売業:人事制度コンサルティング
中堅建設業:定年延長制度コンサルティング
中小飲食業:人事制度コンサルティング
中小製造業:退職金制度再構築コンサルティング
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- 人材採用
- 人事考課・目標管理
- キャリア開発
創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績
企業を救い、元気にする。皆様に提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。
強い組織を実現する最適な人づくりを。
企業において最も大切な人的資源。どのように育て、どのように活性化させていくべきなのか。
企業の特色や風土、文化に合わせ、組織における人材育成、人材活躍に関わる課題をトータルで解決します。
タナベコンサルティング HRコンサルティング事業部(タナベコンサルティング コンサルティングジギョウブ) コンサルタント
対応エリア | 全国 |
---|---|
所在地 | 大阪市淀川区 |
このプロフェッショナルのコラム(テーマ)
このプロフェッショナルの関連情報
人事制度 人事制度再構築コンサルティング
激変する社会情勢や社内環境を踏まえると、これからは理念やビジョンに沿った制度全体の再設計が急務です。
育成・研修 グループ経営者育成コンサルティング
~次代をつくる、未来をつくる~社長クオリティーを磨き、社長になってからの100日プランを描き切る
- サービス・製品資料
- 資格等級・賃金制度
- 評価・目標管理制度
- 就業規則・勤怠管理