社員クチコミから読み解く~選ばれる会社・選ばれない会社
日本生産性本部は2024年10月16日、第98期「人事部長クラブ」の10月例会を都内で開催(オンライン併用)した。当日は「1700万人以上の社員クチコミから読み解く選ばれる会社・選ばれない会社」をテーマに、オープンワーク代表取締役社長の大澤陽樹氏が講演した。
オープンワークは、日本最大級の社員クチコミサイト「OpenWork」や、企業向け採用支援サービスの「OpenWorkリクルーティング」、クチコミデータを新たな社会課題解決に活用するオルタナティブデータサービスなどを展開している。
同社では、「OpenWork」に投稿された上場企業10年分の業績データや社員クチコミを、AIを使って分析し、働きがいや働きやすさをスコア化することで、働きがいや働きやすさが企業の業績に貢献するかどうかの研究を行っている。
大澤氏は、これの研究成果として、この10年で働きやすさは改善傾向にあるが、働きがいは下がり続けているとした。働きがいは企業成長にとって大切であること(企業財務の結果は1~2年後に働きがいに影響し、働きがいのスコアは3年後に企業財務の結果に影響すること)、クチコミ総合平均が前年比1・0ポイント改善した企業は翌年のROA(総資産利益率)が同じく約1・0ポイント上昇していることなどを紹介した。
また、クチコミからは労働者の四つの欲求(「長期・安定性(明確な理念や経営計画などの目標の魅力)」「仕事・成長力(事業優位性や仕事のやりがいなどの活動の魅力)」「人・組織(風通しの良い風土や若手の活躍など組織の魅力)」「評価・待遇(最先端の設備や納得感のある給与など待遇の魅力)」)のスコアがわかると説明。
そのうえで、この10年間で下降し続けている評価スコアは「20代成長環境」であることや、「20代成長環境」や「人事評価の適正感」の二つが高いと働きがいが上がること、若手社員が成長環境を評価している企業に共通する要素は「フィードバックをもらえる環境」や「キャリア支援」であること、「会社への不満」よりも「将来への不安」が早期離職理由になっていること、残業時間の削減や有給休暇消化率の向上は若手社員にとっての会社満足度の向上にはつながらなくなってきていること、若手社員にとっては成長環境とやる気のある同僚が多いことが会社満足度につながることなどを指摘し、若手の成長環境や人事評価が企業の差別化要素になる時代だと述べた。
働きがいのある会社とない会社ではどんな言葉がクチコミで飛び交っているのかを比較したところでは、働きがいのある会社の上位5%の企業では、共感、前向き、自由闊達、オープン、ミッションなどの言葉が、出現頻度が高いのに対して、下位5%の企業では、精神論、旧態依然、昔ながら、アナログ、のんびり、まったり、顔色、機嫌など、環境変化に適応できない「運動神経の悪さ」に関する単語が目立つことも指摘した。
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経営コンサルティングの対象となる経営組織の特質・現状をトータルに調査・分析することにより、問題点を抽出・整理し、激変する経営環境に対応できる経営革新の方策を提示し、これを実現するために最適のマネジメント手法の導入・定着を図ります。
日本生産性本部(ニホンセイサンセイホンブ) コンサルティング部
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第98期 人事部長クラブ
開催日:2024/08/23(金) 12:00 ~ 2025/01/24(金) 15:00