ストレングスファインダー(R)で気づく、正論より大切なこと
ストレングスファインダー(R)を学んでいくと、自分と違うタイプの人の行動や考え方が少しずつ理解できるようになります。けれど、実際のやりとりの中では、「わかっているつもりだったのに、つい感情的になってしまった」ということもありますよね。
たとえば企業研修の場。全員が自ら希望して参加しているわけではなく、中には明らかに乗り気でない人もいます。
研修の中で私はストレングスファインダー(R)のプロファイリング(資質の組み合わせからその人の傾向を読み解く)を行いますが、それに対する反応は実にさまざまです。「そうそう、まさにそんな感じです!」とうなずく人もいれば、「なんだか決めつけられている気がして、受け入れにくい」と言う人もいます。私は必ずこう伝えるようにしています。
「これはあくまで“資質の組み合わせから見える仮説”です。納得できるところだけを受け取ってくださいね。」
すべてを受け入れる必要はありません。相手のペースを尊重することで、必要な気づきがちゃんと届くこともあります。
もちろん私にも「責任感」がありますから、心の中では「せっかく時間を使ってるんだから、もう少し真剣に聞いてくれても…」と思う瞬間もあります。でも、そこに正論をぶつけたところで、関係は良くなりません。
人は、正しさだけでは動かない——そう痛感する場面です。
ストレングスファインダー(R)の視点を持っていると、こうしたすれ違いにも別の光が当たります。
たとえば「共感性」が高い人にとっては、「人の気持ちを想像する」ことがごく自然です。でも「目標志向」が強い人は、「今やるべきことに集中し、ゴールに向かってぶれずに進む」ことを最優先にします。同じ場面を見ていても、注目するポイントがまったく違うのです。
そう考えると、相手に苛立つ前に、「あの人はどんな資質で世界を見ているのか?」と問い直すことに、大きな意味があると感じます。「なぜ動かないのか?」ではなく、「その人にとって“動けない理由”があるとしたら何か?」を想像する——。それは、単なる優しさや思いやりではなく、相手との違いを前提にした対話を始めるきっかけです。
そして同時に、「自分はなぜこの状況にモヤモヤするのか?」にも目を向けてみる。たとえば「最上志向」が高い人は、「もっと良くできるはずなのに」と焦ったり、「責任感」が強い人は、「やるべきことに向き合わないのは不誠実だ」と感じたりするかもしれません。
ストレングスファインダー®を活かすとは、相手のことを知ることと同時に、自分の“感じ方の癖”を知ることでもあります。
「正論を言いたくなったとき、自分は何を大事にしているのか?」
「なぜこの人の態度に反応してしまうのか?」
その問いに立ち戻ることができれば、対話の出発点はぐっとやわらかくなります。
正しさだけを武器にするのではなく、まずは相手の気持ちに立ち止まってみる。その姿勢こそが、資質を理解する力を、実際の関係性の中で生かすということなのではないでしょうか。

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ストレングスファインダーで変革を促す~対話と多様性を重視し、個々の強みを活かすことで組織全体の成長をサポート~
前職では半導体製造技術者として勤務しながらコーチングやアサーション研修の社内講師も務める。独立後、ストレングスファインダーを活用したチームビルディングやリーダーシップ研修を中心に提供。ストレングスファインダーのプロファイリングに定評がある。
知識茂雄(チシキシゲオ) ガイアモーレ株式会社提携講師(株式会社ハート・ラボ・ジャパン)

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